文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)

エアコンを使うようになると、酸っぱい感じのニオイがすることがあります。このニオイは、気分的に不快というだけでなく、汚れた空気を出しているという証明でもあります。ところが、カーエアコンというのは手入れをするように作られていませんので、ちょっと特殊な清掃をする必要があるのです。

ニオイの原因はカビ
 エアコンを作動させた時に、ムワッと酸っぱいようなニオイが吹き出してくることがあります。特に初めのうちはその傾向が出やすいのですが、人間の鼻というのは鈍感になりやすいので、いつしか慣れてしまいます。ところが、そこに落とし穴があります。このニオイの原因は、カビといわれているのです。吹き出し口から出てくる風に含まれる菌を培養するなどの検証はやってませんが、7年ほど前にエアコンメーカーに聞いたところ、ニオイを出すカビは4種類ほどしかないということを聞いたことがあります。つまり、ニオイと共にカビの胞子が車内に充満している可能性があるのです。

 それ以来、ニオイがする時は窓をあけて、少しでもカビを吸わないようにしているのですが、消極的な対策でしかありません。そのうち、クルマ用のエアコン洗浄ムースなどが登場してきましたが(家庭用がブームになるより数年前のことです)、最近は洗浄するのが広まりつつあります。

消臭剤の効果は気休め
 エアコン消臭というとエアゾールで液をスプレーして、それを内気循環にして吸い込ませるものや、害虫駆除剤のように煙を出す薫蒸タイプなどがあります。これらは、それなりに一応の効果はあるでしょうが本質的な対策ではありません。こんなことをいうとメーカーさんに怒られますが、効果の程は気休めでしかないもので、しばらくするとまたニオイがするようになってきます。特に薫蒸タイプの中には、製品そのもののニオイが悪臭というほどの場合があり、かえって逆効果ということもありました。

フィルターが付いてから、マシにはなったが
 クルマにエアコンが付くようになってずいぶん経ちますが、フィルターのないものがほとんどでした。最近になってコンパクトカークラスにも装着されてきましたが、それ以前のエアコンはひどいものです。もちろん、制御の自動化や省エネ性能では進歩していますが、人が吸い込む空気の質に対しては、どの程度の配慮があったのか疑問に思ってしまいます。

 まず、普通の外気導入はワイパー下から行いますが、ここからは排気ガスはもちろん、落ち葉や泥などのかなり大きめのゴミが室内のユニットまで入ってきます。どのように溜まるかは、住む環境や使い方にもよりますが、水分や雑菌の繁殖原因となります。内気循環にしても、髪の毛やタバコの煙、砂埃が吸い込まれてエアコンユニットに入っていきます。このため、室内ユニットを分解すると、おぞましいほどのゴミが溜まっていることもあるのです。誇張すると、掃除機の排気を吸っている状態に近いといえそうです。

 最近では、外気導入口の網が細かくなり、落ち葉などは入りにくくなりましたし、フィルターがあればそこでゴミを止めてくれるので、ユニット自体の汚れは少なくなってきていると思います。しかし、エアコンを作動させると水分が出てくるので、カビが発生しないとは言い切れないでしょう。