カーメンテナンス/車の点検ポイント

値段より中身で選びたい オイルフィルターの違いって?

エンジンオイルのゴミを取るのがオイルフィルターですが、外観はどれも同じで違いが分かりにくいため、つい価格だけで選びがち。実は中身にも結構違いがあるのです。

執筆者:高山 則政

文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)

エンジンオイルは、走行距離が伸びるに従って、汚れが増してきます。これは、エンジン内での燃焼ガスの吹き抜けや、燃料の燃えカスであるススなど、様々な不純物が混じることで起こります。これらのゴミがエンジン内に循環すると、ちょうどサンドペーパーで擦っているような状態になり、エンジンの摩耗を早める原因となってしまいます。また、汚れたままのオイルを循環させていると、さらに大きな固まりとなって、オイルが通る細い通路を詰まらせて、焼き付きなどの原因にもなることも考えられます(オイル交換をさぼっているとなりやすい)。このゴミを取り除くのがオイルフィルターです。

交換のスパンはオイル交換2回に1回
 オイルフィルターはエンジン本体サイドに取り付けてあることが多く、エンジンの下からポンプで吸い上げられたオイルは、ここを通過してからエンジン全体に供給されます。数ミリ以上の極端に大きなゴミは、ポンプに吸われる前にストレーナーという金網で除去され(といっても、そのようなゴミはあまりありません)、細かいゴミがフィルターに捕らえられます。

 フィルターはゴミが溜まってくると、いつしか目詰まりして寿命となりますが、その交換時期はオイル交換2回に1回と言われています。ただし、この目安は1万km以内にオイル交換している場合と考えた方が良く、仮にメーカー指定距離が1万5千kmで、そのペースでオイル交換している場合は、フィルターも同時に交換した方が良いと言うことになります。ちょっと回りくどい言い方ですが、およそ1万5千kmから最長でも2万km程度ということになりそうです。

完全に目詰まりするとどうなる?
 多くのエンジンでは、オイルフィルターに全てのオイルを通して循環させています(全ろ過式)。このため、オイルフィルターが目詰まりした場合にオイル循環そのものがストップしてしまうと、即座にエンジンが焼き付いてしまうことになります。そこで、ほとんどのオイルフィルターには、バイパスバルブという逃がし弁が装備されていて、一定値以上の圧力差が生じた場合にフィルターを通さずに循環できるようにしてあります。汚れたオイルでも回らないよりはずっとマシというわけです。

 私の聞いた話では、4万kmほどオイルを交換せず、継ぎ足しだけで走ってしまったという人がいますが、当然フィルターも換えなかったのでしょうから、とりあえずオイルが入っていれば何とかなってしまうのです。とはいえ、そこまで酷使するとエンジンノイズは大きく、各部の目詰まりでエンジン内圧が高まってオイル漏れを起こしたりするなど、様々な弊害も出てきます。少なくとも、メーカー指定の交換距離は守っていきたいものです。
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