文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)

クルマのバッテリーは、ほとんどの場合希硫酸という電解液を使用しています。中に入っている電極と化学反応して、電気を貯めたり放出するため必要なものですが、わずかずつ液量が減ってきてしまいます。限度以上に減ってしまうと、最悪の場合バッテリーの破裂などの原因になりますので、定期的に点検しておく必要があります。

液減りするのはナゼ?
 バッテリーに入っているバッテリー液(希硫酸)は、使っているうちに少しずつ液面が減少してきます。その理由には、電極によるバッテリー液の電気分解や温度上昇による蒸発などが挙げられます。バテリーを充電すると、その反応で液中の水が電気分解されます。化学の実験でもお馴染みの水の電気分解では、水素と酸素の気体に分かれてしまいますが、これと同じことがバッテリーの中でも起こっているのです。また、エンジンルームは非常に熱くなるので、それにつれてバッテリー自体の温度も上がって、蒸発しやすくなってきます。

 電気分解の作用は、電極の性能向上で昔に比べると大幅に低下しているので、その分液減りも少なくなっています。また、蒸気はバッテリーの上に付いているキャップで水に戻される構造になっています。

メンテナンスフリーで事故多発?
 メンテナンスの必要性が減ったのは嬉しいことなのですが、液が全く減らないわけではありません。ここに落とし穴があって、数年前に信じられないような事故が頻発して話題になりました。バッテリーの破裂事故です。これは、バッテリー液の減りすぎが原因とされています。
 その発生プロセスは、液不足によって(1)内部の極板が露出して、空気に触れることで腐食しやすい状態になる。(2)液減りした分、ガスの溜まる容積が増加。この状態でも、バッテリーとしては機能し続けています。そして、何かの拍子に極板が脱落したりすると、そこにも電気が溜まっているためスパーク(電気火花)が発生し、溜まった水素ガスに引火するというわけです。
 このような事故は、液面の点検をしていれば防止できたことです。電池工業会のパンフレットによれば、1ヶ月に1回は液面点検をするように書かれています。実際問題、毎月見ても変化は分からないくらいだと思いますが、3ヶ月とかせめて6ヶ月ごとにはチェックしておきたいものです。
 また、1995年の車両法改正により、バッテリーの管理はユーザー自身が行う項目に変更されています。法定点検項目から外れたことも、点検頻度の低下原因と考えられますが、とにかくユーザー側の責任ということが明確になっているので、気を付けておきましょう。

液面点検の方法
 バッテリーの液面チェックは簡単ですが、分かりにくいものです。なんだか変な説明ですが、バッテリーの側面には、アッパーとロワーのラインがあって、その範囲に液が入っていればOKとされています。なのですが、容器の透明度が低くて液がどこら辺にあるか分かりにくい製品が多いのです。そのため、液面の点検時はクルマを揺すったり、電灯で照らして透かしたりするなどしないと良く分かりません。

また、上面カバーにインジケーターを装備するものでは充電状態の他、液不足も分かるようになっています。その場合は、インジゲーターを見た方が早いと思います。ただし、このインジゲーターは一つのセル(部屋)しか分からないので、他の部屋が極端に減っている場合は発見が遅れる懸念はあります(製品によっては、6つ全てのキャップにインジゲーターを装備するタイプもある)。