カーメンテナンス/車の点検ポイント

エンジンフラッシングの効果とは?やり方とオイルの使い方

エンジン洗浄のために「フラッシング」を勧められたことはないでしょうか?エンジン内部にたまった汚れを落として新車時のコンディションに戻す作業のことです。なぜ必要なのか?実際にフラッシングオイルを使って試してみました。

執筆者:高山 則政

 

エンジンフラッシングとは?

エンジンフラッシング エンジンオイル交換

エンジンフラッシングとは?


カーショップなどに行くと、オイル交換と同時にフラッシングのサービスを勧められたり、効果能書きを書いたボードを見かけることがあります。「エンジンOH(オーバーホール)効果!」や「エンジン内部の汚れを一掃!」などの見出しで、パワーや燃費の回復をうたっていますが、今回はこのフラッシングについて考えてみたいと思います。


【エンジンフラッシングの効果とは?やり方とオイルの使い方 目次】
   

エンジンフラッシングの目的はエンジン内の汚れを落とすこと    

フラッシングの目的は、エンジン内にたまった汚れを外に排出すると言うことです。確かな語源は調べてないので分かりませんが、英和辞典では、水をさっと流すこと、 (トイレの)水洗, 洗浄という意味がありますので、エンジン内をすすぐということなのではないかと思います。一口にエンジン内部などといいますが、エンジンはいくつかの部屋があります。フラッシングでキレイにしようとしているのは、オイルが循環する部分だけで、燃焼室の内部やエア通路内などは基本的に隔離されているので効果がありません。

エンジンオイルは使っているうちに汚れてきますが、オイルに吸収できない汚れはスラッジなどと呼ばれるヘドロや固形分となってエンジン内部に堆積してきます。この量が多くなりすぎると、オイル通路のつまりや、軸受け部の潤滑不良、放熱性の悪化などを招いて、エンジンノイズの増大やパワーダウン、燃費悪化などの悪影響が出てきます。これらの汚れをオイル交換時にスッキリ落としてしまおうというのがフラッシングの目的というわけです。
 

エンジンオイル交換時期の目安    

オイルフィルターの様子

オイルフィルターの様子

エンジンオイルの交換時期は自然吸気(NA)で10000~15000キロか1年、ターボ車で5000キロか半年というのが標準的なメーカー指定距離です。ターボは洗浄性からすると有利なのですが、10000キロを越えるとエンジン内に茶色の汚れが付着してくることがあります。それでも、規定の距離で交換しているなら、変色してもエンジン性能に遜色ないとメーカーの技術者は言っています。もし、この茶色のオイル焼けすら気になるというなら、8000キロで換えるというように交換スパンを短くしてやってもいいでしょう。このように、適切なオイル交換をしていれば必ずしもフラッシングが必要とは言えなくなってしまいます。

また、低質なオイルやオイル交換をさぼって黒いヘドロがたまったような場合は、エンジンを分解して洗浄液に浸け置きしてブラシでこすってようやく落ちるというレベルですから、すすぎ程度でどこまで落ちるかという疑問もあります。確かに、ヘドロ状で流動性のあるスラッジなら流れ落ちますし、オイル交換だけでは排出しきれない古いオイルもすすげるので、新しいオイルの汚れが少なくなることは期待できるでしょう。
 

フラッシングの種類

さて、やっと本題ですがフラッシングの方法がいくつかあるので挙げてみましょう。

1,添加タイプのフラッシングオイルを使うもの
オイル交換前に150~300ccほどのフラッシングオイルを添加して、しばらく運転した後、排出するというもの。使用がカンタンという特徴がある。
添加タイプの製品例:ワコーズE190

添加タイプの製品例:ワコーズE190

ワコーズ EF エンジンフラッシュ 速効性エンジン内部洗浄剤 E190 325ml

2,交換タイプのフラッシングオイルを使うもの
いったん古いオイルをぬいてから、専用オイルをレベルゲージのフルまで注入し、数分運転した後に排出。その後、通常使用する新しいオイルと交換する。オイル交換が2回必要なのでやや面倒だが、新油ですすぐため、新しいオイルの汚れが少なくなる特徴がある。この方法の場合、安売りエンジンオイルをフラッシングオイル代わりに使ってしまうという手もある。オイルそのものの洗浄効果もあるし、しばらく通常走行してもエンジンを傷める心配がない。
交換タイプの製品例:カストロールFLUSHINGundefinedOIL

交換タイプの製品例:カストロールFLUSHING OIL

CASTROL(カストロール) フラッシングオイル エンジン内部洗浄油 3L

3,フラッシングマシンを使う
カーショップで行うサービスとして定着している感があります。オイルのドレンボルト(排出口)やオイルフィルターの取り付け部へ配管をつなぎ、外部から洗浄液を循環させるというもの。エンジンを停止して行うので、洗浄性能を上げた液を循環でき、外部から汚れをのぞくことが出来る。

私自身、機械によるフラッシングを2度ほど見学しました。この時、エンジンのヘッドカバーを外して循環させたのですが、意外にも洗浄液の勢いは弱く、カムシャフトにあるオイル口からジワジワ洗浄液がにじむ程度でした。確かに洗浄液の流れた部分は汚れが浮き出してましたが、ヘッドカバー内の汚れを落とすのはとても無理という印象でした。ユーザーにとって機械で行うメリットはいかほどなのかという疑問は残ります。

このサービスで特徴的なのは、フラッシング後に添加剤を注入するものがあるということです。この添加剤によって、エンジンが軽く回るフィーリングになっているとすると、フラッシングの効果と混同する可能性があるので、私の場合添加剤は入れないようにしてもらいました。個人的な結論としては、オイル交換以上の効果は感じにくかったとなります。ただ、オイル交換のスパンが長くスラッジのたまりやすいクルマやディーゼル車には向いているかと思います。
 

フラッシングオイルを実際に使用した効果と実証結果    

今回使用したビタミックスフラッシュ

今回使用したビタミックスフラッシュ

正直なところ、フラッシングオイルの効果を信じてないところがありましたが、先日使った製品がなかなか良かったので報告します。

1万キロオイル交換なしで使用して内部が茶色くなってきたエンジンに、フラッシングオイルを使ってみました。今回使ったのは、ビタミックスフラッシュ(写真 発売元:ティーエヌディ)で、150mlの添加タイプです。使用法はフィラーキャップよりエンジンに注入して、アイドリングで30分回すか軽く走行して、後は通常のオイル交換を行うというものです。使用したクルマでは汚れが多かったので長めにアイドリングさせましたが、フィラーキャップを外してエンジン内をのぞいて見ると、アルミの地肌がほとんど露出していました。このような汚れは、ブラシでこするくらいでないと落ちないのではないかと思っていましたが、ケミカルパワーとはたいしたもんです。

もっとも、このエンジン自体がオーバーホールされているので、汚れ自体の膜が薄いという点はありましたが、間違いなく効果は確認できました。今回は汚れが落ちた分、完全に排出したかったので、フラッシング終了後に安いオイルと入れ替え、しばらく走行した後にオイルフィルターとオイルを交換しました。

ということで、スラッジなどの汚れをためないように気を付ける必要はあるが、多少の汚れならフラッシングで落とすことも可能、ただし、過度の期待は禁物・・・というのが、現段階の僕の結論です。


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文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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