雑誌の旅行特集やテレビの旅番組などを見ている時、その場所が気になって「死ぬまでに一度は行ってみたい……」と思ったことはありませんか?
誰しも逃れることができない天界へのお迎え。あまり考えたくないことではありますが、どんな人にも訪れるものだからこそ、現世に悔いのないようにしたいものです。大切な人と一緒に行きたい場所へ出かけ、素敵な思い出をたくさん作ってから天界へ旅立てることができれば、それは一つの幸せの形と言えるのではないでしょうか。
そんな視点をもとに、今回は「死ぬまでに見たい日本の名所ベスト5」を選んでみました。人生の思い出として心に焼き付けるのには十分な名所ばかりです。
第5位:熊野那智大社と那智の滝(和歌山県)
「死ぬまでに見たい日本の名所」第5位は、近畿地方・和歌山県の熊野那智大社と那智の滝(Googleマップ)。紀伊半島には、高野山、吉野・大峯山、熊野三山という3つの山岳霊場があり、遙か昔から多くの人の信仰を集めています。霊場に向かう参詣のための道も、紀伊半島の豊かな自然に包まれていることから、霊場への参詣=神様のいる領域へ足を踏み込む……という特別な旅の目的地となりました。 そんな山岳霊場への信仰と霊場に作られた各寺社の歴史ある建築物、そして参詣道と一体化した紀伊半島の大自然が評価され、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録。世界が価値を認めた貴重な場所となっています。
紀伊山地の山岳霊場の一つ、熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社からなり、離れている三つの社を巡礼として巡る熊野詣の舞台。熊野詣に使う参詣道も熊野古道として、今でも一部が当時の雰囲気のまま残っていて、実際に歩けます。 三つの社の中の一社である熊野那智大社は、日本三大名瀑の一つに数えられる那智の滝を神域に抱える神社。落差133メートルを誇る那智の滝は、熊野那智大社の別宮である飛瀧神社のご神体として崇められており、滝の間近へ近づくことも可能。
また熊野那智大社の隣にある那智山青岸渡寺(せいがんとじ)からは、朱色に輝く青岸渡寺の三重塔と那智の滝をセットで見ることができるので、神社の荘厳な雰囲気を体感しつつ自然の偉大さを感じられる素晴らしい名所なのです。
■熊野那智大社と那智の滝へのアクセス
地図:Googleマップ
東海道新幹線 名古屋駅より、JR東海 特急「南紀」に乗車し、紀伊勝浦駅下車。紀伊勝浦駅からは熊野御坊南海バス 那智山行きに乗車し、那智の滝前バス停下車。または東海道新幹線で新大阪へ向かい、JR西日本 特急「くろしお」で紀伊勝浦駅下車。
<飛行機>
熊野白浜リゾート空港より、白浜駅・紀伊田辺駅行きの空港連絡バスで白浜駅へ。白浜駅からはJR西日本 特急「くろしお」で紀伊勝浦駅下車。熊野白浜リゾート空港から、南紀白浜空港リムジンバスで紀伊勝浦駅まで移動することができます。
<高速バス>
大宮、池袋駅東口、バスタ新宿と勝浦温泉を結ぶ高速バス(三重交通バス、西武観光バスの共同運行)に乗車し、勝浦温泉下車。紀伊勝浦駅まで歩いた後、熊野御坊南海バスに乗車。
<車>
東名または新東名から伊勢湾岸道、東名阪道、伊勢道、紀勢道、熊野尾鷲道路、国道42号線、那智勝浦新宮道路を経由して那智勝浦インターチェンジまで進み、那智山方面への県道に入る。
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第4位:白川郷(岐阜県)
「死ぬまでに見たい日本の名所」第4位は、東海地方・岐阜県の白川郷(Googleマップ)。山間に茅葺きの合掌造りの家が点在する風景は、県境を挟んだ五箇山(富山県)と白川郷でしか見られないもの。1995年には「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界文化遺産に登録されています。 外観が織りなす風景を楽しむも良し、内部が公開されている合掌造りの家にあがって、先人の知恵が詰め込まれた合掌造りの構造をこの目で確認することもできます。どこか懐かしい感じが心に響く名所です。
■白川郷へのアクセス
地図:Googleマップ
東海道新幹線 名古屋駅よりJR東海 特急「ひだ」で高山駅下車。高山濃飛バスセンターより白川郷方面行き高速バス(一部は予約制)に乗車し、白川郷バス停下車。北陸新幹線 金沢駅、新高岡駅、富山駅からも白川郷、高山方面行き高速バス(予約制)で行くことができます。
<高速バス>
バスタ新宿と高山濃飛バスセンター(JR高山駅前)を結ぶ高速バス(濃飛バス、京王バスの共同運行)に乗車し、終点下車。高山からは白川郷行きバスに乗り換え。
<車>
長野道 松本インターチェンジから、国道158号線、中部縦貫道(安房トンネル)を経て、高山へ。高山からも国道158号線を進み、飛騨清見インターチェンジから東海北陸道で白川郷インターチェンジへ行けます。また中央道+長野道経由より距離は長くなりますが、東名+新東名から東海環状道経由で東海北陸道に入り白川郷インターチェンジまで移動することもできます。
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第3位:立山黒部アルペンルート(富山県・長野県)
「死ぬまでに見たい日本の名所」第3位は、北陸地方・富山県の立山黒部アルペンルート(Googleマップ)。立山黒部アルペンルートは、長野県から富山県にかけて、北アルプスの名峰が立ち並ぶ立山連峰と後立山連峰をトンネルで貫き、電気バス、ケーブルカー、ロープウェイなどの乗り物に乗って、大自然の風景を堪能できる日本でも有数の山岳観光ルート。 ルート上で一番高いところにある室堂は標高2450メートル。
冬は豪雪に閉ざされ、春のルート開通とともに目の前に現れる巨大な雪壁「雪の大谷」は、季節の風物詩として毎年ニュースで取り上げられる場所。短い夏から秋にかけては北アルプスの山々が織りなす美しい風景を楽しむことができます。 またアルペンルートの途中にある黒部ダムは、人が気軽に踏み込むことができなかった黒部川の深い谷に難工事の末作られた巨大なダム。石原裕次郎氏の熱演でも知られる映画『黒部の太陽』の舞台にもなりました。観光シーズンに行われている観光放水は、まさに迫力の一言。
雄大な大自然と人間の英知、その両方を確認できる稀有な名所、それが立山黒部アルペンルートです。
■立山黒部アルペンルートへのアクセス
地図:Googleマップ
《長野県側から入る場合》
<鉄道>
北陸新幹線 長野駅よりアルピコ交通バス 特急バスで扇沢へ。またはJR大糸線 信濃大町駅下車。新宿より特急「あずさ」号で松本まで、松本から普通電車で信濃大町へ。「あずさ」号の一部列車は信濃大町まで直通運転します。信濃大町駅からは路線バス(アルピコ交通バス、北アルプス交通バスの共同運行)に乗車して扇沢へ。
扇沢駅からは、関電トンネル電気バスで黒部ダム駅へ行き、黒部ダムを横断して黒部湖駅から黒部ケーブルカーで黒部平駅へ。立山ロープウェイに乗り換えて大観峰から立山トンネルバスで室堂へ。
<高速バス>
バスタ新宿・新宿西口から白馬行きの高速バス(京王バス、アルピコ交通バスの共同運行。昼2~3往復(毎日)、夜1往復(季節運行))が信濃大町駅前に停車。信濃大町駅からは路線バスで扇沢へ。高速バスの夜行便1便(季節運行)は、扇沢駅まで直通します。扇沢駅から先は<鉄道>ルートと同じ。
<車>
長野道 安曇野インターチェンジから県道または国道147号線経由で大町に入り、大町温泉郷・扇沢方面へ。扇沢のターミナル前に駐車場があります。アルペンルート内にはマイカーの乗り入れは出来ませんが、富山県側に抜けたい人のためにマイカーの回送サービス(有料)が用意されています。扇沢駅から先は<鉄道>ルートと同じ。
《富山県側から入る場合》
<鉄道>
北陸新幹線 富山駅より富山地方鉄道に乗車し立山駅下車。立山駅からは立山ケーブルカーで美女平駅へ向かい、立山高原バスに乗り換えて室堂へ。
<高速バス>
バスタ新宿・池袋から富山・氷見行きの高速バス(西武バス、富山地方鉄道の共同運行。昼1往復、夜1往復)が富山駅前に停車。富山駅からは<鉄道>ルートと同じ。
<車>
北陸道 立山インターチェンジから県道で立山方面に。立山駅に駐車場があります。アルペンルート内にはマイカーの乗り入れは出来ませんが、長野県側に抜けたい人のためにマイカーの回送サービス(有料)が用意されています。
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第2位:ニッポンの端(北海道・沖縄県)
「死ぬまでに見たい日本の名所」第2位は、ニッポンの端。 旅を楽しんできた人にとって、最北端、最西端という端っこはいわや聖地のようなもの。東西南北に長い日本列島なので、四方向の端っこに行くのは結構大変。まさに思い立たないと行けない名所といえるでしょう。 日本の四方向の端をおさらいしておくと、最北端と最東端は北海道にあります。最北端(北方領土を除く)は、北緯45度31分22秒に位置する稚内(わっかない)の宗谷岬、最東端(北方領土を除く)は、東経145度49分01秒に位置する根室(ねむろ)の納沙布岬(のさっぷみさき)。どちらもさいはての地の雰囲気を十分味わえる場所です。 代わって最南端と最西端は、沖縄県にあります。
最南端は、北緯24度2分24秒に位置する波照間島(はてるまじま)の高那崎。日本最南端の碑のまわりには、海と崖しかありません。また最西端は東経122度56分01秒の与那国島(よなぐにじま)・西崎(いりざき)。ここから台湾まではわずか111キロメートルしか離れていません。
日本国の広さを改めて実感できる名所が、東西南北、四方向のニッポンの端なのです。
■ニッポンの端へのアクセス 《最北端》 宗谷岬 Googleマップ
<飛行機>
稚内空港から宗谷バスで稚内駅へ。稚内駅から宗谷バス 鬼志別、浜頓別行きに乗車し、宗谷岬下車。
<鉄道>
札幌から特急「ライラック」または「カムイ」で旭川へ行き、旭川より特急「サロベツ」で稚内へ。もしくは札幌から特急「宗谷」で稚内へ。
<車>
稚内空港から、国道238号線を宗谷岬の方向へ走ります。
《最東端》 納沙布岬 Googleマップ
<飛行機>
根室中標津(なかしべつ)空港から根室交通バスで根室駅へ。根室駅から根室交通バス 納沙布岬行きに乗車し、納沙布岬下車。
<鉄道>
札幌より特急「おおぞら」で釧路へ。根室線の列車に乗り継ぎ根室駅へ。
<車>
根室中標津空港より厚床経由で国道44号線に入り根室市内へ。その後道道35号線を納沙布岬の方向へ走ります。
《最南端》 波照間島 Googleマップ
<飛行機>
南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港から東運輸バスまたはカリー観光バスで石垣港離島ターミナルへ。ここから波照間島への安栄観光の高速船が1日3便運航しています。または南ぬ島石垣空港から第一航空で波照間空港まで週3便運航しています。
※高速船は、海の状況によってかなり揺れますので、酔い止めを忘れずに。
島内には公共交通機関がないので、レンタサイクルやレンタバイクなどを利用するか、徒歩での移動になります。
《最西端》 与那国島 Googleマップ
<飛行機>
南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港から琉球エアーコミューターで与那国空港へ。那覇空港からも与那国への直行便が運行されます。
島内にはバスもありますが、本数が極めて少ないので、観光にはレンタカー、レンタバイクなどが必要です。
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第1位:小笠原諸島(東京都)
「死ぬまでに見たい日本の名所」第1位は、小笠原諸島(Googleマップ)。東京から南へ1000キロ。太平洋上に浮かぶ絶海の孤島という表現がふさわしい小笠原。空港はないので、船でしか行くことができません。
東京・浜松町にある竹芝桟橋から、小笠原海運のおがさわら丸に乗船して、小笠原諸島の父島・二見港まで片道24時間の航海。一昼夜かけて太平洋を南下すると、聟島(むこじま)、兄島などの家族の名前がつけられた小笠原諸島が見えてきます。 父島・二見港の入口には、「Welcome Lock」と名付けられた大きな岩がお出迎え。繁忙期や台風などを避ける時を除いて、二見港に入港したおがさわら丸は3日間停泊した後、東京へ戻るスケジュールとなっています。なので船中2泊、父島3泊の5泊6日以上の日程がないと訪れることができない、とてもとても遠い場所です。
そんな遠い小笠原なのですが、車は品川ナンバー。都道府県は東京都に属しているというのがちょっと不思議ですね。 小笠原諸島の見所はなんと言っても海の美しさ。港から見た海水の透明度は驚きの一言です。前述したWelcome Lock(烏帽子岩)はもちろんのこと、父島の奥に進めば小港海岸やコペペ海岸などのさらに美しい海の風景が待ちかまえています。
また「東洋のガラパゴス」と言われる独特の生態系も魅力の一つです。亜熱帯気候なので、浅瀬でも色鮮やかな熱帯魚が泳いでいたりします。一部の季節を除いてホエールウォッチングも可能。日本にもこんな場所が残っていたんだ……というのを実感できる素晴らしい名所です。 父島で過ごす楽しい時間は、あっという間に過ぎ去っていき、東京へ行くおがさわら丸が二見港を出航する時間に。
すると出航と同時に父島に住む人たちと父島に残った観光客の人たちが乗った小型船がおがさわら丸に伴走、港を出るまでの間、お見送りをしてくれました。感動的な旅の思い出も得ることができる素敵な名所、それが小笠原なのです。
■小笠原諸島へのアクセス
地図:Googleマップ
<船> 東京・竹芝桟橋より、小笠原海運のおがさわら丸に乗船し、父島・二見港まで24時間。週1~2便運行。竹芝桟橋へは、JR山手線・京浜東北線 浜松町駅から徒歩、または、ゆりかもめ 竹芝駅下車。
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名所・旧跡ガイドが選んだ「死ぬまでに見たい日本の名所」のベスト5、いかがだったでしょうか。改めてベスト5を下記にまとめておきます。 人生の思い出に大切な人と一緒に出かける旅の行き先として、今回取り上げた5カ所の名所を記憶に留めていただければ幸いです。
※アクセスに関しては、首都圏からの行き方を紹介しています。
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