宝物室を出たら、次なる見どころは、内陣に安置された「パーラ・ドーロ(PALA D'ORO)」。1105年から1345年にかけてヴェネツィア共和国の威信をかけて作られた、豪奢な黄金のついたてです。全体は金を張った銀板でできていて、255点のエナメルのイコン、526個の真珠、330のガーネット、320のエメラルドの他、サファイアやルビー、アメシストなど計1927個の宝石が惜しみなく散りばめられ、当時のヴェネツィア共和国の繁栄ぶりをうかがわせます。

中央を飾るのは、玉座に座ったキリストの姿。サファイアとガーネットをはめ込んだ聖書を手にしています。そのまわりに並んでいるのは、キリストの生涯と福音書執筆者、聖マルコの生涯。下段最右列のエナメル画は、ふたりのヴェネツィア人が聖マルコの遺骸をエジプトから持ち出し、ヴェネツィアへの船に乗せてバシリカに運び込むシーンを描いています。エジプトからの持ち出しの際、遺骸はイスラム教徒の嫌う豚肉にくるまれて運ばれたとか。こんな苦労の末にヴェネツィアの守護聖人となった聖マルコの棺は、パーラ・ドーロのそばにある主祭壇の下に、今も奉安されています。

このパーラ・ドーロ、いつもは主祭壇に背を向けて(つまり裏返しに)立てられているので、拝観するには後陣までまわりこむことになります。表向きに立てられるのは特別な祭儀があるときだけですが、金のモザイクでびっしり埋め尽くされた内陣の中央で、パーラ・ドーロがさん然と輝きを放つその様子は……、考えただけでもあまりの派手さに目がくらみそうです。

 

 

▲左:「パーラ・ドーロ」1105~1345年、幅3.14m、高さ2.12m。
ビザンティン様式のエナメル画と、ゴシック様式の金細工が織りなす
ドラマティックな聖書の世界。
京都大学の電子図書館に、さらに詳細な画像≫があります。

右:「パーラ・ドーロ」中央部、玉座のキリスト。▲
左右には4人の福音書執筆者が配置され、それぞれの頭上には
大粒のサファイアがはめ込まれた百合が咲いています。
下段中央は聖母マリア、右端はビザンティン帝国のエイレーネ皇后。
左端にあるヴェネツィア共和国元首ファリエールの人物像は
もともと描かれていた皇帝の首をすげ替えたものと思われます。
Copyrights: Scala/Firenze,1999

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