長いこと主役の座についていたホワイトゴールドが退潮し、イエローゴールドが戻ってきた今季。しかし、ゴールドの本場イタリアの様子を見ていると、イエローが復活したと言うよりは、ゴールドのカラーバリエが豊富になったと言った方が正しそう。肌の色になじむピンクゴールド、淡いシャンパンゴールドなどが頭をもたげてきつつあり、ガンメタリック調にメッキしたブラックゴールドも、これから少しずつ日本に流入してくるはずです。
また、いくつかの女性誌では、パールの記事が見られるようになりました。ネオ・クラシックな装いが流行している今、パールの上品さ、優美さに目が向けられているのです。ジャクリーン・ケネディを思わせる60年代風のスタイルに、パールは特にマッチ。お嬢さまっぽくならないブラックパール、バロックパールも見逃せません。
さらに春から夏にかけて大きく飛躍しそうなのが、マルチカラー。さまざまな色みの貴石・半貴石をアソートした、にぎやかなジュエリーです。これまで主流だった無色のダイヤモンドに対する反動とも言える、キャンディのような色石のみずみずしさが新鮮。プラチナづかいで涼やかに、ゴールドづかいでレトロにと、大きく印象が違って見えるのもポイントです。
さて、ファッションから少し離れて、婚約指輪のトレンドを考えてみましょう。ティファニーが2000年に発表した〈ルシダ〉は、スクエアなカットのダイヤモンドでした。日本のブライダルシーンは丸いダイヤモンドにこだわるあまり、それを何とか差別化しようとして「ハートが見える」だの「エクセレントが3つ」だの難しいことを必死に言い続けてきたのですが、そこへ「四角くてもいいんじゃない?」とばかりに〈ルシダ〉をポンと提案したティファニーの先見性は、さすが。先頃結婚した女優のジーナ・デイビスをはじめ、セレブリティたちはさっそく、スタイリッシュなスクエアを選び始めているのですから。
最後に、私が「?」と思っているのが、80年代風フープ・ピアスの復活を叫ぶ声。大きなフープのピアスがパリコレで目立っていた、というのが発端らしいのですが、どうでしょう。丸顔やたまご形の顔が多い日本人がボリュームのあるフープを着けると、顔の横幅が強調されて、どうもしっくりきません。むしろ、ダイヤモンドやパールの“1粒石”系が、引き続きホットな存在であり続けると思われます。