給与明細には重要な情報が集約されている!
会社員にとって、お給料は働いた証。銀行の残高を確認するだけで、給与明細には目も通していない……なんてことはありませんか? 毎月の給与明細には、給料の情報はもちろん、手当や控除の額、出勤の状況などが記されています。今回はこの給与明細の見方をご紹介しましょう。下の表は、給与明細の一例です。給与明細は会社によって書式が違いますが、必ず書かれているのが、(A)就業項目、(B)支給項目、(C)控除項目の3つです。それぞれの項目とその内訳は何を表すのか見ていきましょう。
給与明細の一例。給与明細は、会社によって書式が違うが、主に書かれている項目は上の通り
給与明細の就業項目では、その月の勤怠を確認
(A) 就業項目には、出勤した日数、有給休暇や欠勤の日数、残業時間などが記載されています。これらの条件から、給料が計算されるので、数字があっているかを確認しておきましょう。特に残業時間は時間外手当(残業手当)に影響するので要チェックです。本給とは?基本給で退職金で決まる
(B) 支給項目は会社から支払われたお金の明細です。大きく基本給と手当に分けて支払い項目があると思います。(1) 基本給などは、本給や職能給、職務給、職責給、職種給などの名目で支給されます。本給は年齢や勤続年数などで決められるもの。他に、仕事の遂行能力に対して決められる職能給、仕事の内容や責任度に応じて決められる職務給や職責給、職種に応じて支払われる職種給などがあります。
これらの基本給は、一般的に退職金の計算に使われる数字です。次に説明する手当とは、大きく意味が変わってきますのでしっかりとチェックしておきましょう。
手当は仕事と生活に対して支給
給与明細にある手当は仕事と生活に対して支給されます。(2) 時間外手当、深夜勤務手当など……超過勤務に関する手当
就業項目に記載されている勤務時間に対して支払われているか確認しましょう。
(3) 役職手当、資格手当など……仕事の内容や職務に関する手当
所定の資格保持者に支払われる資格手当や、管理職などの役職に対してつく役職手当などがあります。仕事の内容に対して支払われる手当です。
(4) 家族手当、住宅手当など……家族や生活に関する手当
扶養家族の人数に応じて支払われる家族手当は、支給する会社が減っています。ライフスタイルが多様化し、シングル世帯も多いためですね。
これらの手当は全ての会社で支給されているものではありません。会社によって手当の内容は変わってきますのでご注意を。
※詳しくは>>「給料の1割を占める「手当」とは?平均は2万円」
給与天引きされるものの大半は税金と社会保険
給与明細の一例。給与明細は、会社によって書式が違うが、主に書かれている項目は上の通り
給与や手当などの支給されるお金から天引きされるものについては、 (C)控除項目をチェックします。給与が多くても手取りが少なく感じるのはこの控除が多いから。じっくり確認しましょう。
(5) 税金(所得税と住民税)
所得税はその年の所得に対して支払う税金です。所得税は毎月源泉徴収され、12月に行われる年末調整で正確に計算され精算されます。
対して住民税は前年の所得に対して支払うもの。つまり前年の所得がない新入社員は住民税を支払わなくてもよいということですね。一方、出産や失業により収入がなくても、前年に働いていれば住民税を支払う必要があるということです。
※所得税や住民税について詳しくはこちら>>>
会社員の給与にかかる所得税の計算方法
住民税が入社2年目の6月から引かれるのはなぜ?
(6) 社会保険(年金保険、雇用保険、健康保険、介護保険)
年金保険(厚生年金)は、年金制度の中のいわゆるサラリーマンとしての上乗せ部分も含めたもの。老後に支給される老齢年金や、死亡した時に遺族に支給される遺族年金、障害状態になった時に支給される障害年金のためのもの。
雇用保険は、労働者の生活と雇用の安定のために政府が行っている保険制度。失業時に失業手当(基本手当)を受給できたり、就業支援を受けられたりします。 また、在職中も教育訓練給付を受けることができるなど、失業の予防などの事業も行われています。
健康保険は、勤労者として自ら加入しているもの。大企業や企業グループは組合管掌健康保険に、中小企業などは協会けんぽ、公務員などは共済組合に加入しています。40歳以上になると介護保険の被保険者となり、介護保険料も控除されるようになります。
これらの社会保険の負担はかなり大きいのではないでしょうか? この保険料、通常は毎年4、5、6月の3カ月間に会社から受け取った報酬から保険料が決められています。
会社特有の組合費、個人の財形貯蓄などが給与天引きされることも
会社によっては、(7)労働組合費や共済費、労働争議準備資金などが給与から天引きされている場合があります。これらは会社によって違います。また、(7)個人での財形貯蓄や積立、生命保険の保険料支払いを給与天引きにしている場合も、同様に控除されています。
これは、厳密にいえば控除というより、個人の支払いですね。これらの金額が多いと手取額が少なく見えますが、個人の貯蓄などになっているわけですから、同じ控除でも意味が違うことを把握しておきましょう。
いかがでしたか? 給与明細にも色々な情報が載っているのがわかったのではないでしょうか? 手取額を知るのはもちろん、会社からの支給内訳や社会保険の負担を知ることもできる給与明細です。じっくりと内容を確認してみましょう。
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