イラスト ・ 平井さくら |
風疹、はしか、水疱瘡、りんご病には注意を
小さいときに感染症をすませておく機会が減り、子供の感染症に抗体を持たない女性が増えています。春は、はしか、水疱瘡など、子供の間でいろいろな感染症が流行りますが、妊娠中こうした病気をもらってしまったら、妊娠経過や胎児にどんな影響があるでしょうか。
妊婦さんにとって要注意の病気としては、風疹、はしか、水疱瘡、りんご病などがあります。
はしかは流早産が心配
はしかは赤ちゃんの異常には直接関係しないのですが、子宮を収縮させてしまうので、流早産の心配があります。35週くらいに大きくなっていても安心はできません。
お腹の赤ちゃんには深刻なりんご病
りんご病はパルボウイルスによって起こる病気です。子供たちにとっては軽い病気ですが、妊婦さんが妊娠20週未満に感染すると、赤ちゃんの赤血球を作る細胞を壊してしまうことがあります。すると赤ちゃんは貧血になり、薄い血液を大量に循環させなければならないので心臓に無理がかかり、むくんできます。
お母さんがりんご病にかかった場合、2割くらいの率で赤ちゃんにそういうことが起き、うち半分は流産してしまいます。先端医療では胎児輸血などをして成功している例もありますが、まだまだ一般的ではありません。
おたふくかぜは比較的安心な病気
おたふくかぜ(ムンプス)は妊婦さんにとって、心配の少ない病気です。ただ、ごく初期にお母さんが感染すると流産をするかもしれない、と言われています。
◆風疹についてはこちらから
(3)大丈夫?あなたの風疹抗体
◆水疱瘡についてはこちらから
(3)妊娠中の水痘(水疱瘡)
家族がワクチンを受ける
これらの病気については、自分がワクチンを打ったり(りんご病はワクチンがありません)、かかったりしているかを、まず思い出してみて下さい。あるいは実家に聞いてみてください。そして、思い当たらない人は、抗体検査を受けるのも手です。
そして抗体がないとわかった場合は感染を防ぐために努力しましょう。ワクチンがある病気については、自分は妊娠中なので受けられませんが、家族が受けているかどうか調べて下さい。まだの場合は、早めに受けてもらい、家庭内に患者が出ないようにします。
でもわが子がかかってしまったという場合は、できれば実家などに離れた方がいいでしょう。また、よそのお子さんに発疹がある場合も、少しの接触でも感染の可能性はあるので近づかないようにします。
万が一「かかったかもしれない」と思った場合は、まず産院に電話をしてください。「発疹が出た。はしかかもしれない」などと告げれば、他の妊婦さんと別の時間帯に行って検査や診察を受けるようにアレンジしてもらえるでしょう。
お話しいただいた小島俊行先生 |
(1)妊娠中のインフルエンザ予防注射
(2)ノロウイルスから赤ちゃんを守る
(3)大丈夫?あなたの風疹抗体
(4)もし妊娠中風疹にかかったら
(5)春の保育園・幼稚園で流行る病気
(6)妊娠中の水痘(水疱瘡)
◆家庭でできるプロの感染予防
(1)手洗いの基本は「水で落とせ」
(2)アルコール綿・マスク・ゴム手袋
◆このシリーズは、小島俊行先生(三井記念病院産婦人科部長)にご協力をいただいてお送りします。
三井記念病院産婦人科