税金/個人事業者の税金

個人事業者の事業所得と税金

会社などを退職し独立・開業すると税務上の所得区分も給与所得から事業所得に置き換わります。医師を例にあげると、大学の勤務医であれば給与所得ですし、開業医であれば事業所得となり、職業という切り口では解決できません。税務上、事業とは?税務上、給与とは?ポイントはこちらで。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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出資者・協力者をさがすのも重要な仕事です

出資者・協力者をさがすのも重要な仕事です

会社などを退職し独立・開業すると税務上の所得区分も給与所得から事業所得に置き換わります。しかし、たとえば、医師の場合を例にあげると、大学の勤務医であれば給与所得ですし、開業医であれば事業所得となります。テレビの番組で活躍しているアナウンサーなどもテレビ局に所属している場合は給与所得となりますし、テレビ局に関係なくフリーで活動している場合には事業所得となります。このほかにも、弁護士・会計士・税理士といったいわゆる「士」業の方から、プログラマー・フォトグラファー・デザイナーといった方までいわゆる職業を切り口に給与所得と事業所得を区分することはむずかしいのではないでしょうか。

まずは事業所得と給与所得の違いについて整理してみましょう。

事業所得と給与所得の相違とは

同じ医師でも大学病院の勤務医と個人の開業医を例にとってみましょう。

治療行為を行う場合、大学病院の勤務医の場合、その治療器具を用意してくれるのは大学病院側で一勤務医が用意する必要はありません。一方、個人の開業医の場合、治療器具や薬剤はすべて一個人で用意しなくてはならないでしょう。

次に勤務シフトにおいてはどうでしょうか。大学病院の勤務医の場合、夜勤や日直の当番など大学病院の方針に原則従わなくてはならないのでしょうが、個人の開業医の場合、休診日や診察日・診療時間帯などを他の者に指示されることなく自由に決められるでしょう。医療過誤やミスが起きた場合、大学病院の勤務医の場合(道義的な責任はあるにせよ)最終的な責任は大学病院側で負うのが通常でしょうし、個人の開業医の場合、その責任もすべて一個人に帰することとなります。

ポイントその1~事業が独立しているか

上記のポイントを整理すると「機材や場所を自前で用意しているか」「他人からの指示命令を従っているか」「責任の所在は誰にあるのか」ということに帰結します。つまり、これらを総合勘案して独立しているものが事業所得で、独立した形態とはならないのが給与所得と考えればいいでしょう。

ポイントその2~生計をたてる(反復・継続)

事業所得の「事業」から連想するものの中に「ある程度の規模で行っているのだな」というイメージも含まれるのではないでしょうか。税務上、「ある程度の規模」とは生計をたてられる規模のことを指します。生計を立てるためには、単発的な仕事ではなく、その仕事を反復・継続して受けられていることにもなります。
つまり、事業所得とは反復・継続して他の者から独立して仕事を受けている場合の所得の区分で、職業を切り口に一概に区分することはできません。
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