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住んでから気づく、新築マンション購入の失敗例10選

新築の窓ガラスに結露、設備が旧式……。住んでから気がついたのでは遅すぎる、マンション購入の痛い失敗例をガイドがセレクトしてお届けします(2018年2月改訂版、初出:2010年7月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

失敗は目に見えない部分に多い

突然ですが、「結婚」と「住まい選び」って似ていませんか。実際に暮らしてみて、初めてわかることがある、という意味で。もちろん、良かったと思うことも多いでしょうが、困るのは「しまった!」が多く出てくることです。

立地、価格、仕様、設備、間取り、インテリア……どれも納得して購入したはずなのに、住んでみて初めてわかる失敗の数々。のちのち悔やむことは、事前に目で見て確認できない部分に集中しています。今回は住んでみて初めてわかる「しまった!」を10例チョイスして解説します。
 

失敗例1:夏に暑い!

外よりも家の中の方が暑いなんて!

外よりも家の中の方が暑いなんて!


住んで初めての夏に気がついた、家の中が「非常に暑い」ということに。朝外出して夕方帰宅すると室温が40度近くもあり、家に入ってまずしなくてはいけないのは「家中の窓を開けて換気すること」。その後、クーラーをガンガンにかけるけれどもなかなか涼しくならない。

仕事の後に疲れた体でそんな家には帰りたくないですよね。その家のせいで体調を崩しかねません。部屋が冷えるまで時間がかかるので、エアコン代も高くついてしまいます。
 

失敗例2:冬に寒い!

家の中なのに寒いから厚着をしなきゃいけないなんて…

家の中なのに寒いから厚着をしなきゃいけないなんて…


冬、家の中にいても風邪をひきやすい。寒いので家の中でも厚着をしている。子どもが布団をはいでいないか心配で夜中に何度もチェックしている……。家の中にいるのに「風邪をひかないか」と心配しなきゃいけないなんて、そんな家には住みたくないですよね。

さらに「冬に寒い家」が原因で恐ろしい事故につながる恐れもあります。それは、ヒートショックです。ヒートショックとは、家の中の急激な温度差が原因で身体に大きな負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことです。ヒートショックによる死者は年間で1万人以上といわれています。
 

失敗例3:日当たり、眺望

日当たりの良さや眺望を期待してマンションを購入したのに、数年後に目の前に大きな建物が建ち、お日様が当たる時間が短くなったうえに眺望も遮られてしまった……、なんてとても悲しい「しまった!」ですよね。

そのような「しまった」をなくすためには、マンションを購入する時にモデルルームで敷地の周辺に将来どんな建物が建つ可能性があるかよく確認することが大切です。将来にわたり日当たりや眺望を確保できるかどうかをしっかり見極めてから購入するようにしましょう。

 

 失敗例4:窓の結露

「窓に結露がつくのは当たり前」というのは過去の話になりつつあります

「窓に結露がつくのは当たり前」というのは過去の話になりつつあります

冬になると窓ガラスに水滴がびっしりついているのは日常の光景である。毎朝雑巾で水滴を拭きあげているがその作業が大変。そのうちサッシ周りに黒ずみが発生してしまった。こだわって選んだカーテンにもカビが生え、窓周りの壁紙がしっとりして、剥がれてきてしまった……。

築年数の古いマンションなどでは、窓の結露は「当たり前」の光景かもしれませんが、今は違います。窓の断熱性能が向上していること、適切な断熱と換気で結露が発生しにくい家が増えています。結露の出ない家は、快適です。もし、今、購入した新築マンションの窓ガラスに結露が発生するようであれば、「しまった」と思っていいでしょう。
 

失敗例5:家具の裏の壁にカビがびっしり

タンスをどけたらカビがびっしり、なんて光景はぞっとしますね

タンスをどけたらカビがびっしり、なんて光景はぞっとしますね

ある日ごろりと寝ころんだら、家具の裏の壁にカビがびっしりついていてぎょっとした、という驚くようなお話もありました。

家具の後ろの空気は停滞しがちなので、家具の置く位置、壁からの距離などに気を付けた方がいいのですが、後ろの壁の中の見えない部分の断熱がうまくできていないとより発生しやすくなります。カビは家族の健康にも悪影響を与え、家そのものも傷めます。賃貸なら引っ越せばいいですが、もし購入したてのマイホームだったら……ショックですね。

 

日々の暮らしに関係ある「しまった!」は困った度も高い

ここまでの失敗例1~4の「しまった!」の原因は「建物の断熱性が低い」こと。断熱性が低いと、夏は暑く、冬は寒くなり、冷暖房に頼らないと快適に過ごせません。そして、カビの原因となる結露が発生しやすくなります。

断熱性がよい建物は、断熱材で家全体を隙間なく包み、窓には高断熱サッシを入れています。断熱材は目に見えない部分にあるため、住んでみて初めて「あれっ?」と思うかもしれません。
 

窓ガラスをチェックしてみる

複層ガラスは二枚のガラスで空気をサンドイッチしているため、一枚ガラスよりも断熱性が高い(画像提供:日本板硝子)

複層ガラスは二枚のガラスで空気をサンドイッチしているため、一枚ガラスよりも断熱性が高い(画像提供:日本板硝子)


目に見える部分でチェックしやすいのは「窓」です。窓のガラスや枠がどんな仕様であるか確認してください。新築であれば、複層ガラスやLow-Eガラスなどの高断熱ガラスを使用していること、枠はアルミ製ではなく樹脂製など、熱を伝えにくい材質でできているでしょうか。
 

失敗例6:窓が開けられない

幹線道路沿いの立地は騒音や排ガスの影響を十分考慮して

幹線道路沿いの立地は騒音や排ガスの影響を十分考慮して


駅近物件、幹線道路沿いの物件などで、騒音や排気ガスがひどく、住んでみたら「とても窓を開けられない」といったケースもあります。たとえ購入前からわかかっていて「窓が開けられなくてもエアコンをかければいい」と思っていても、住んでいるうちにやっぱり窓を開けたくなるそうですよ。

そのような立地の物件なら、窓はたいてい防音性の高いサッシが入っていると思いますが、その場合、窓を閉め切ると部屋の中の小さな音(例:電話の音など)が思ったより響いて気になるということがあるようです。
 

失敗例7:リフォームできない

長い間住んでいると、ライフスタイルの変化に合わせ、リフォームしたいと思うようになるかもしれません。そこで、いざ業者を呼んでみてもらったら「リフォームできません」と言われてしまった、なんてことも。

戸建て住宅なら、建築確認申請をしていない、完了検査済証がない、という家は危険です。家が新しい時はなにも問題はないかのように見えますが、増築などの大掛かりなリフォームは基本的にできません。中古になっていざ売買しようとしても、売れにくい可能性もあります。

マンションなら「直床・直天井」仕上げになっている物件は、給排水や電気配線などの設備配管が床や天井のコンクリートに埋まっている可能性があり、将来的に照明やキッチン、浴室など水回りの位置が思ったように変更できない可能性があります。
 

失敗例8:家具配置がしにくい間取り

住み始めると、子どもの誕生、成長などに合わせ、家具が増えたり位置を替えたりする必要性が出てきます。家具配置を決定づける要因は「窓」「壁」「照明」や「コンセント」の位置などがあります。購入時に将来のリフォームを視野に入れてそれらの位置のチェックができれば「しまった」も少なくなります。

また、窓を大きくとった間取りは明るくて開放感があるかもしれませんが、そのために極端に壁が少ない間取りだと、家具配置がしにくいかもしれません。
 

失敗例9:旧式の設備だった!

節電・省エネタイプの住宅設備が採用されていれば、日々の光熱費も安くすむのに。

節電・省エネタイプの住宅設備が採用されていれば、日々の光熱費も安くすむのに。


キッチンやユニットバス、トイレ、エアコンなどの住宅設備はどんどん進化を遂げています。例えば最新の節水タイプの設備が採用されていれば、水道光熱費の削減につながりますし、省エネタイプのエアコンが装備されていれば電気代が安くなります。しかし、分譲物件の中には旧式モデルを採用しているケースもあります。

気が付きにくいことですが、最近のキッチンや洗面台の収納は「引き出し式」が主流になっています。引き出し式だと奥の方も有効に使え、扉式に比べて20%ほど収納量が増えるそうです。しかし、相変わらず扉式の収納を採用している物件もまだまだあります。

小さいことかもしれませんが、収納は少しでも多いにこしたことはありません。こんなことこそ購入してから「しまった……」と思う部分ではないでしょうか。
 

失敗例10:共用部(マンション)

マンション選びをする時は「どんな共用施設があるか」ということも大きなポイントになると思います。しかし、入居してからその共用施設やサービスが中止されてしまい「しまった!」となることがあります。

例えば住人専用の大浴場、プール、コンシェルジュサービス、最寄り駅まで送迎してくれるマンション専用バスなどが中止になる事例もあります。フタを開けてみたら利用者が少ない、経費がかかるなどの理由で中止になってしまうのです。
 

見える部分も見えない部分もよく見て購入を 

住まい選びと結婚は似ている。時間がたって初めてわかることもある

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家を購入する時、初見で気に入ってすぐに購入を決めるというパターンもあるでしょう。いわゆる一目ぼれのようなもの。そして住んでみて、あそこもここも気になりだすのです。

我慢できること・取り換えがきくことならまだいいのですが、それがなかなか改善しにくいことであったり、住まい手の健康や快適性に大きな影響を与えるような「しまった!」だと困りますよね。住まい選びは結婚と同じくらい、慎重に行いたいですね。

 
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