実例2:悪意のない失言
話題選びには要注意(Bさん:33歳)
空気を読みながら会話を
Bさんは入園数ヶ月後、「トラブルというほどでもないのですが」と前置きした上で、話題選びの難しさについての経験を語ってくれました。
「子どもお友だちの家に遊びに行ったとき、一緒に招かれていた同じクラスのお子さんのママが、少し年齢が高い方だったんです。彼女が年齢をすごく気にされていたということを知らずに、年齢や更年期の話を振ってしまい、ひんしゅくを買ってしまったようでした」。後でそのことに気づいたBさんは、相手と距離を置くことで、深刻なトラブルにはならずにすんだそうです。
「しばらくは会っても“にっこりご挨拶”程度にして、話はしないでいたんです。そうしたら、相手のママも他に気の合うお友達を見つけたようで、おそらく気にされなくなったみたいです。しばらく時間がたってから子どもどうしが仲良くさせてもらってるようなのでお礼を言ったら、普通に対応されたので」
Bさんは、「いろいろな人がいて、相手のことをまだよく知らない関係という中で共通の話題を見つけるのは気を遣います。でも、悪口さえ言わなければ、大人同士なのだからそんなにマズイ関係にはならないのでは?」と言います。
ただし、「苦手な人にも“にっこり笑ってご挨拶はきっちり”が重要ですよ」という点が要注意。基本的なことですが、忘れずに実行したいものです。
実例3:父母会役員活動でのトラブル
子どもの病気と係の仕事で板ばさみ(Cさん:34歳)
幼稚園での父母会役員や係活動でトラブルが起こってしまうことも多いようです。
子どもが年少時の冬、Cさんの娘は喘息がひどく、月の半分は幼稚園を休むような状態でした。Cさんは当時園の文集係をしていたのですが、そんな状態では原稿を書く時間がなかなか確保できない。そこで原稿の締め切りを伸ばしてくれるよう、同じ係の人に頼んだときに言われた言葉にショックを受けたと言います。
「子どもの点滴に、どうして親がそんなについていなければならないの? そんな時間があるなら原稿を早く書いてよ」
Cさんは、娘の看病と自分自身の体調の悪さに疲れていて、反論する気も起こらなかったそうです。
「その夜、原稿を書き上げて提出しました。その後、その人に対しては特に何も言っていません。ただ、この時の言葉は未だに忘れられない。悪く言えば、まだ私自身が根に持ってしまっているんです」
「この言葉を発したのは当時仲良くしていた人で、娘の体調に関しても理解してくれていると思っていただけに、本当にショックなことでした。ただ、この方の子どもは2人とも健康優良児で、ほとんど病院にかかったことがなかったようなので、こちらが口で説明しても実感として受け止めてくれなかったのだろうと思います」
一見同じような生活をしているように感じられる母親同士でも、子育ての中での実感には微妙な差異があります。そうした中、父母会などで「ひとつの仕事をやり遂げる」となると、相手の立場への想像力が薄くなってしまう面があるのかもしれません。
「できる人が、できる範囲で、できることをする」。これが、父母会の仕事の進め方の鉄則です。できない人にはできない理由があるはずですから、「あの人は忙しくなさそうだから、できるはず」と憶測で判断しないこと。親しくなっても配慮は必要です。
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