来春入学予定の子どものいる家庭には、秋になると「就学時健康診断」の案内が送られてきます。「就学時健康診断」とは、10月後半から11月にかけて入学予定の小学校で行われる健診です。一体、どんな内容なのでしょうか?来春入学予定の子を持つガイドが、この秋初めて体験しました。
※以下は、2004年秋の東京都内の某公立小学校の場合です。地域により、内容は多少異なる場合もあります。
うわばきやスリッパを忘れずに! |
準備は必要?
「就学時健診はこの日ね。」と予定は入れていたのに、当日になって記入書類に気づいて大あわて!・・・実は、これはガイド自身のこと。「就学時健診のお知らせ」には、記入の必要な書類やアンケートが同封されている場合が多いのです。内容はおもに、予防接種歴など。母子手帳も用意し、きちんと記入しておきましょう。
その他、必要な持ち物はうわばきやスリッパ。子どもの分は園から持ち帰る。親の分は携帯用のスリッパなどを準備しておきましょう。きっと今後も役立つはずです。
受け付け順にスタート
小学校に着いたら、まずは受付。子どもは首に番号札をかけてもらいます。ずいぶん並んで待った後、体育館へ。番号順に、10人ずつスタートします。実は、ガイド宅の子どもが通う保育園からは、同じ小学校に進む子が他にはいません。子どもは平気そうだけど、親は内心ちょっと心細い気も。
さて、いよいよ順番です。番号順に並ぶと、その横に5年生の児童が並んでくれました。ひとりずつ担当となって、案内してくれるとのこと。在校生と接することができるのはうれしいものです。
健診の後半は、親と離れます
親と子と5年生の児童の3人ひと組で回ります。最初は歯科、それから耳鼻科、眼科、上着を脱いで内科です。そこまで済ませたら、次は親とは離れます。担当の5年生が最後まで一緒に回り、連れてきてくれるのです。
その後は聴力検査(耳に何かをあて、聞こえたら知らせる。)、視力検査、そして簡単な発達の検査(簡単な問題に答えるなど。これを「知能テスト」と呼ぶ場合もある。)があったようです。
その間、親は体育館で待機。30分以上待つこともあるので、知り合いがいないと長く感じます。
最後は、健診の結果(各項目について、「異常なし」など。)を受け取って終了です。ほっ。ひと安心!
何のためにやるんだろう?
就学時健診の際に受け取ったプリントには、「今回の健診で治療の必要なところが分かったら、入学までにきちんと治して健康な状態で入学できますようご配慮ください」と書かれています。それはもちろんその通りなのですが、では「健康じゃない子どもは入学できないの?」と、少し反論してみたい気分にかられます。事実、「就学時健診の知能テストは、なんらかの障害を抱える子どもとそうではない子を振り分けるためだと言われています(『小学校の不思議な常識』 より)。」という話も、一説にはあります。
もちろん、養護学校を含めた選択肢の中から、その子に合った就学先を選ぶのは必要なこと。ただ、学校によっては「多少問題を抱える子どもを特殊学級や養護学校に行かせたがる傾向がある、と言われる」と『小学校の不思議な常識』 では述べられています。
入学前に、子どもと親が学校と知り合うチャンス
「振り分けられる」と思うと、あまりいい気持ちはしません。でも、こう考えてみてはどうでしょうか。就学時健診は、入学前に子どもと親が学校と知り合ういい機会だと。小学校の中に足を踏み入れ、在校生と話をする。例え健診で「ひっかかった」としても、その点について学校側ときちんと話をすれば、少なくともその学校の「姿勢」といったものが見えるはずです。そして、学校のほうでも「こんな感じの生徒が入ってくる」という心構えをしてくれるはず。そうあるべきだと思うのです。
ただ、それにしては先生方と話をする時間が設けられていないのが残念です。学校選択性が実施されればまた変わってくるのかと思いますが、この点については今後改善されることを望みます。
今回印象に残ったのは、案内してくれた5年生の児童。健診を受けた子どもたちが入学する来春には、彼らは6年生となるのですね。なかなか子どもの「今」しか見えない子育ての中で、子どもたちの「先輩」のしっかりした姿を見ることは、励みになるものでした。
■参考文献■
保育園を考える親の会OB組 『小学校の不思議な常識』 学生社 2003年刊
■関連リンク■
障害を持つ子どもの就学については → ☆障害を持つ子の就学☆【育児の基礎知識】
公立小・中学校の新たな傾向 → 横浜公立小・中学校が2学期制へ【子育て事情】