西洋と東洋が共存できるフォルム    

西洋の代表的な家具:椅子に対する独自の考え、つまり椅子は西洋だけではなく、東洋にも存在しており、椅子に対する考え方が対極にある、そして共存もできると述べている。

あらためてこの椅子をみると、(椅子は)水平垂直の線と面で構成されている。唯一、斜めの背(束)と緩やかにカーブした笠木(背の頭についた横棒)のみが、身体を支えるように変形している。
側面や後姿をみるとその様子がよくわかる。また、座幅が700mmちかくある。喜多氏いわく、「あぐらを組む」が容易にできる広さが特徴的だ。
凛として静寂に佇む姿は、とても美しい。

この椅子は、ドイツ・トーネット社の100周年記念のときに依頼されたもので、ヨーロッパで発表されたもの。製品化するのではなく、1脚だけの木の椅子という条件でデザインされた。ケヤキ材を拭き漆で仕上げ、極限まで細く、少ない部材構成で成り立っている。

日本の卓越した木工技術と50~60年は持つ漆の耐久性とが織りなされた椅子は、そのフォルム・使い方も含め、東洋の精神的なメッセージを放ち、存在する椅子なのである。

■空海の椅子(1989年)
・デザイン  :喜多俊之
・製造/販売 :ニシザキ(株)
・サイズ   :W740 D590 H800 SH450
・素材    :ケヤキ材              


             
『石川 尚の気になるデザイン』  ………………………………………………

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