損害保険/損害保険関連情報

負担を抑えて地震保険に入る方法

多くの人がその必要性を感じつつも、負担感の重さから加入率が半分に満たない地震保険。地震保険に入っていない人でも、5割弱の人は地震保険が必要だと考えているというデータもあります。そんな人のための、上手な加入法はないのでしょうか。今回は、保険料負担を抑えつつ地震保険の契約をする方法についてお伝えします。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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未加入者でも5割弱が「地震保険は必要」

地震保険の必要性は多くの人が感じているが・・

地震保険の必要性は多くの人が感じているが・・

火災保険に地震保険をセットしている割合を地震保険の「付帯率」といいますが、2008年度の付帯率は45%でした。近年、付帯率は年々上昇しており、2004年のデータと比べると、2008年は7.6ポイント上昇しています。東日本大震災後はさらに上昇、2011年度は53.7%となっています。

一般世帯の地震保険への加入意向は、決して低くないのが実状のようです。たとえば、地震保険では最大でも建物評価額の50%しか補償されないことを説明したうえで、地震保険が必要かどうかを問う質問では、地震保険に加入していない人であっても、5割弱の人が「地震保険は必要だと思う」と答えています。

ところが一方で、地震保険料の印象について、自分が契約する場合の保険料を確認したうえで高いか安いかを問う質問では、地震保険に加入していない人は60.2%が、地震保険に加入している人でも53%が、地震保険料を高いと答えています。

その理由として、「契約金額(保険金額)の割には高い」「最高で住居建物の再築に必要な額の50%までしか補償されない割に高い」「滅多に発生しない地震による被害のみを補償するものとしては高い」との意見が圧倒的に多くなっています(いずれも損害保険料率算出機構「地震危険に関する消費者意識調査(平成21年調査)」)。
 

コストでつまずく地震保険の加入

地震保険には入りたいけれど、コストが問題となって「入れない」人も少なくないのが現状かもしれません。ただし、地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約をすることになりますから、地震保険料だけで見るのではなく、火災保険と合わせた保険料がわが家にとって適切なのかで判断する必要があります。

火災保険には火災だけでなく、風災や水害、盗難その他、様々な補償があります。たくさんの補償をつければつけるほど、それに比例して保険料は高くなります。ポイントはわが家に起こりうる災害リスクを絞り込んで、補償に優先順位を付けること。負担する保険料を抑えつつ地震補償を優先したい場合には、他の補償の必要性を確認することが不可欠です。
 

補償に優先順位を。地震保険を優先するなら他をシンプルに

具体的に数字で見てみましょう。東京都のT構造一戸建て建物で、補償をなるべく多くセットした火災保険と、火災+破裂爆発+落雷のみを補償する火災保険のそれぞれに地震保険をセットした場合の保険料を試算してみますと、保険期間5年で5万円もの差が出ています。フルセットの火災保険では負担は重くなりますが、火災保険自体をシンプルにすれば地震保険の契約も現実味を帯びてきます。

火災保険といえば、様々な補償がセットされた商品が一般的ですが、どれも同じというわけではありません。種々の補償がたくさんセットされた商品もあれば、一方で補償をシンプルにできるものもありますが、地震補償を優先したい場合には、出来るだけシンプルな火災保険を選ぶのが保険料を抑えるコツです。

【火災保険の補償内容による保険料の違い】
※セゾン自動車火災保険「じぶんでえらべる火災保険(保険始期日2010年6月1日)」で試算
火災保険の補償内容による保険料の違い※クリックすると拡大します

火災保険の補償内容による保険料の違い※クリックすると拡大します

 

土地の地盤・建物の耐震性を考慮することが第一の備え

前出の意識調査では、大地震で住居建物が住めなくなるほどの被害を受けた場合に、修繕費用のおもな工面方法として、国や地方自治体など行政による支援を期待している人が5割程度に達しているとのデータもあります。ただ現実は、建物が全壊等した場合に「被災者生活再建支援法」による最大300万円の支援が受けられる可能性があるほかに、国や地方による支援策は原則ありません。わが国では地震等による激甚災害による被害を受けても、自力再建が基本なのです。

気になるのは、大地震に対する備えとして、土地や住居の購入・入居時に地盤や地形を考慮したり、住宅建物の建築・購入・入居時に建物の構造や工法を考慮したと回答している人が驚くほど少ないことです。地震被害は、土地の特性や建物の構造によって被害規模が決まってきます。地震保険の検討以前に、まずはわが家の抱える震災リスクの大きさを確かめてみることから始めましょう。

なお、地震調査研究推進本部地震調査委員会の「地震ハザードステーション」には、今後30年間に地域別に地震が発生する確率が示されています。

【関連リンク】
「地震保険に入るべき?」
「地震保険は安くなる?」
「地震保険金には支払い上限がある」
損害保険料率算出機構「地震危険に関する消費者意識調査(平成21年調査)」
地震調査研究推進本部地震調査委員会「地震ハザードステーション」
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