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おめでたい医療費控除

医療費控除は税金の還付を受ける方法のうち、最もポピュラーなものの1つです。ところが、医療費控除は普通10万円以上の支払額がないと控除額がゼロになってしまうため、年初から準備をしようと思う人はほとんどいません。しかし、家族みんな健康という家庭でも「ある年」だけは、ほぼ確実に医療費控除が受けられることが事前に分かるのです。さて、その「ある年」とは・・・?

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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医療費控除は確定申告によって税金を取り戻す方法としては、最もポピュラーなものの1つです。ところが、この医療費控除は、原則として年間の医療費が10万円を超えないと控除額が発生しないので、年明けから「医療費控除のために、準備を始めるぞ!」という人は、あまり見かけません。

なぜなら、大きな病気もケガもせずに10万円以上の医療費を支払うことなど、ほとんどあり得ないので、せっかく苦労して領収書を整理・保存していても、無駄な努力に終わってしまう可能性が高いからです。

普通の人は「今年は医療費控除を受けるためにケガをするぞ!」とか、「医療費が7万円あるから、年末までに病気になるか!」とは考えません。ところが、ほぼ確実に「今年は医療費控除が受けられるかどうか」が事前に分かる年があります。

それが出産を行う年です。出産については約7~8ヶ月前から、予定日が分かるはずですから、早ければ年初から、遅くとも2~3月位には「その年が医療費控除を受けられる年かどうか」分かるのです。分かった時点であらかじめ医療費控除を受ける準備をしておけば、確定申告時にかなり楽になりますし、控除額にも違いが出てくることになります。

それでは、医療費控除を有利に受けるためのポイントを確認してみましょう。
1.医療費は家族の分もOK
 控除の対象になる医療費は、配偶者や子供のものでも大丈夫です。以前、自分の医療費控除は自分の医療費しか対象にならないと誤解していた人がいましたが、そんなことはありません。

2.薬局などで購入した薬代もOK
 風邪薬など「病気やケガの治療のための医薬品」は医療費控除の対象になります。栄養ドリンクやビタミン剤などは治療ではなく予防のためのものなので控除対象になりませんし、シャンプーや化粧品はもちろん論外です。ちなみに、薬局で領収書をもらう時に「薬代と書いてください」と言うと、買った物が薬だけでなくても薬代で領収書を発行してくれるところがありますが、これを全額医療費とすることは違法ですのでやめましょう。

3.電車賃やバス代もOK
 病院に行くために電車やバス代も医療費控除の対象です。これらの費用は通常領収書がもらえませんので、マメに集計しておかないと後でとても苦労しますので注意しましょう。
 ちなみに、タクシー代については、高熱や緊急の場合など必要性が認められれば、控除対象になりますが、車で病院まで行ったときのガソリン代・駐車場代は控除対象になりません。

4.領収書などはキチンと保存
 原則として医療費控除は、確定申告書に領収書を添付するか、申告書提出時に税務署に提示しなくてはいけませんので、なくさないように保存しておきましょう。

5.年末には薬の補充を
 2で説明したように薬局などで購入した薬代も控除対象になりますが、医療費控除は実際に治療を受けた年ではなく、医療費の支払をした年に控除することになります。そこで、年末には薬箱の中を確認して、不足しそうな薬を買っておくと良いでしょう。

6.出産費用について
 通常の場合、出産費用は40万円以上かかりますが、健康保険から出産育児一時金として最低30万円支給されます。この出産育児一時金には税金がかからないのですが、医療費控除の計算上は出産費用から引かなければなりません。したがって、出産費用だけだと医療費は10万円強にしかなりません。医療費控除は10万円を超えた部分が対象ですから、医療費控除額はほんの少しになってしまいます。
 そこで、出産費用以外の医療費をどのくらい上乗せできるかが控除のポイントになってくるのですが、つい普段のクセで領収書などの保存は雑になりがちです。
ちなみに我が家では「医療費控除用トレー(お菓子の空き箱です)」を作成して、ここに医療費関係の領収書を全部入れることにしていますが、少しの工夫でも控除額に差が出たりしますので、ぜひお試しあれ!
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