<1> 架空人件費の有無をチェックしている。
扶養控除等(異動)申告書の裏面に小さく書いてありますが、(生命保険などのしおりでも大切なことは小さく書いてありますね)、この申告書の取り扱いの基本はその人を雇った日から最初の給与の支払いをうける日の前日までに提出してもらうことになっております。
多くの場合には年末調整時に一括して記入していただいている場合がほとんどですが、本来の方法ではないですし、面接後2~3日出勤してきただけで無断退職してしまう方もいますので注意が必要です。
なので、逆の視点から見るとその人がその会社に在職していた証明書になるわけです。
申告書の提出がなくて短期間に辞めてしまった方などの場合には、面接時の履歴書などで住所などが判明する場合もありますが、やはり、本人のことは本人が一番よくわかるはずです。
ご本人の自書・押印の書類を揃えておきたいところです。
また、最近の給与計算ソフトはよくできており、上記のような扶養控除等(異動)申告書も基礎データを入力するとプリントアウトすることができます。
ただし、税務調査の現場では、本人の筆跡に勝るものはありません。
雇用契約を結んだその日に記入していただくことが記入漏れを防ぐ鉄則といえます。
<2> 源泉所得税の控除額が適正に処理されているかをチェックしている
この扶養控除等(異動)申告書は従業員の側の立場からみれば、「ここがメインのお給料を得ているところです」と主張する書類です。したがって、同時期に2箇所以上の勤務先にこの扶養控除等(異動)申告書を提出することはできません。
この書類を提出することによるメリットは大きく2つあります。
メインの勤務先とメインでない勤務先とでは差し引く源泉所得税の計算方法が違います。メインの勤務先から差し引く源泉所得税は甲欄源泉といいます。メインでない勤務先(副業のアルバイトなど)は乙欄源泉というのですが、当然、甲欄源泉所得税のほうが乙欄源泉所得税より優遇されており、雇い主側が甲欄源泉所得税の控除で適正だと主張するためにはこの扶養控除等(異動)申告書の提出がないとできないキマリとなっています。
よく起業して間もない経営者から、「アイツに源泉も何もしないで満額給与を支払ったのだから、アイツから税金取ってくれ」といった質問(クレーム?)をいただきます。
おおよそ、このような場合には経営者と辞めた従業員との間に何かしらのトラブルがあり、経営者の側もその従業員のことを快く思ってないケースが多いのは事実でしょう。
ただし、私は残念ながら以下のように答えざるをえません。
「お気持ちはよ~くわかります。また、預かってもいない税金を納めなければいけないので資金繰りも大変でしょうが、事業主側には源泉所得税の特別徴収義務というものがあり、扶養控除等(異動)申告書の提出の有無に基づいて事業主が従業員になりかわって、給与から預かった源泉所得税を納めなければいけないキマリになっているのです」と。
税務署に行くと源泉徴収税額表というものがあり、その中には給与の支給額に応じて甲欄源泉所得税・乙欄源泉所得税のことこまかな金額が記載されてます。
その詳細な説明は今回は割愛しますが、給与からの源泉所得税の控除漏れ、これだったら黒字法人・赤字法人を問わず「叩けばホコリのでる会社」は多いのではないでしょうか。
昨今の税務調査対象とその視点、まだまだ続きますのでお楽しみに。
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