消費税を納める事業者がなぜ増える?
所得税、消費税、申告書は一緒に作成しよう |
消費税法上、基準期間という考えがあるのですが、個人の場合、前々年度を指します。
たとえば、平成17年からみた基準期間は平成15年となるわけです。
この基準期間の課税売上が1000万円を超えていた場合には、消費税を納める事業者になるということです。
たとえば、平成15年の課税売上が1200万円であれば、1000万円を超えていますので平成17年は自動的に消費税を納めなくてはいけない事業者になってしまうのです。
従来はこの基準ラインが3000万円でした。ところが、3000万円だと消費税の課税事業者でないにも関わらず、なに食わぬ顔をして消費税分までも請求してフトコロへ、ということが問題となりました。
このような問題を益税といったりしますが、益税問題の解決と課税事業者の拡大といった新たな税収の確保ということで、この基準ラインを3000万円から1000万円に引き下げました。
仮に課税売上を1200万円とした場合の月換算をしていただきたい。毎月100万円以上の売り上げがある小売店の店主などはこれから恒常的に消費税の課税事業者になるということです。財務省などの試算によると、この制度改正によって新規課税事業者が約120万人(法人・個人含む)ことになるそうです。
平成16年以降、起業した個人事業主はまだ対象外ですが、平成15年の確定申告を提出した個人事業主は所得税のほかに消費税の申告・納付が待っているといえます。
未払い計上が可能な消費税
所得税の申告期限は3月15日ですが、消費税の申告期限はそこからさらに半月おくれの3月31日です。しかし、「とりあえず所得税の確定申告書を3月15日までに提出しておいて、あとからゆっくり消費税を」とは思わないほうがいいかもしれません。税法では継続適用を要件に消費税の未払い経理を認めているのです、つまり、所得税の確定申告書を提出するときに、すでに消費税の計算を行っており、決算書上、未払い経理してあれば、今期の必要経費にカウントしてかまわないという規定なのです。
もしかしたら、
☆ 青色申告特別控除65万円選択者&消費税未払い計上している事業主
と、
☆ 青色申告特別控除10万円選択者&消費税未払い計上していない事業主
とでは、所得ベースで100万円以上の差がでるケースもザラになることも予想されます。
青色申告特別控除にしても消費税の未払い計上にしても、きちんと処理していれば、かなり納税額に差がでる申告。それが、平成17年確定申告といえます。