車検の費用も総額で考えがちだけど |
逆に、陸運局に支払う自動車税関連や印紙代は、いったんディーラーなど業者が受け取りますが、ディーラーなどの業者はそれを「預かって」いる状態なので、ここでいう資産の譲渡等には該当しないのです。
このように、ひとつの取引のなかで、課税取引と非課税取引が混在しているものの区分が実務上はたいへん煩雑になります。しかし、すでに起業している人(あるいは起業を志す人)にとっては、この区分をないがしろにしておくと消費税法上、不利となってしまうケースが多いので、注意が必要です。
住民票や印鑑証明書の発行手数料はどうなの?
誰でも一度や二度は市区役所や町村役場に住民票の発行や印鑑証明書の発行で行ったことがあるはずです。そこで、住民票や印鑑証明書の発行後に発行手数料を窓口で支払うことになるのですが、その発行手数料について消費税は課せられているでしょうか。
課せられてはいませんよね。
これは住民票や印鑑証明書の発行は消費税法上、非課税取引として扱うという決まりになっているからなのです。
どのような取引を非課税取引とするかの考え方なのですが、消費に負担をもとめる税としての性格から課税対象とすることになじまないものや、社会政策的な配慮からという理由づけとなっています。
消費税率がアップされたとしても、もし、前項のように「食品や日用品など普段生活で使うものは消費税をかけないでほしい⇒非課税取引とする」とするようなキマリができたとすれば、それは社会政策的な配慮から非課税取引としたというような理由づけとなるのでしょうか。
「食品や日用品など日常生活で使うものは消費税をかけないでほしい」という意見に対して理解はできるのですが、現段階以上に消費税法上、課税する(あるいは課税しない)ということを複雑にしてしまうとなおいっそうの混乱も予想されます。
次回は消費税の非課税取引を中心にみていきます。