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社員旅行に参加しないと税金があがる 2(2ページ目)

社員旅行を企画した場合、良かれと思って「留守番組」へのお手当てを支給する際には注意が必要です。せっかく、年収103万円以下に抑えていても水の泡に。その理由はコチラで。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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なぜ、給与扱いとなってしまうのか

旅行不参加での小遣い稼ぎはヒンシュクを買うことも??
従業員のために行なう旅行であっても、その参加に代えて金銭を支給することとしている場合には、従業員側から見れば、旅行に参加するか、金銭の支給を受けるかを選択できることになります。このような場合、実質的に「給与以外で給与をもらっているのと変わらない」という考え方になるのです。この「給与以外で給与をもらっているのと変わらない」という考え方のことを税法のなかでは「現物給与」とか「経済的利益」と言ったりします。

会社側からみればどちらも経費、しかし・・・

会社側からみれば、福利厚生費勘定で処理しようが、給料手当勘定で処理しようが、所得の計算上特に問題はありません。社員旅行主催の主体が法人であれば福利厚生費勘定で処理しようが、給料手当勘定で処理しようがどちらも損金算入できるし、社員旅行主催の主体が個人事業主であっても必要経費にカウントできるからです。

なぜ、給与になると年収があがるのか

しかし、受け取る側からみれば大問題です。たとえば、会社がアルバイトやパートといった条件にしばられない全従業員を対象にした社員旅行を企画したとします。「やった~、パートでも行けるんだったらどラッキー」と思うAさんと「結局、夜の宴会とかもなんだかんだ言って疲れるのよね。今回は適当な理由をつけてパスしよう」と思うBさんがいたとします。

会社側は
・ 旅行参加者Aさんに対しては、旅行費用12万円を会社負担
・ 旅行不参加者Bさんに対しては、その費用相当額12万円を現金支給
しちゃいました。

結局、ツケはAさんが支払うことに

この場合、このような処理のツケはAさんに影響してきます。たとえば、Aさんが月額平均8万円のパートだとすると年間でおおよそ96万円となります。パート収入が96万円であれば所得税も住民税もかかりません。しかし、「旅行等に参加した従業員、参加しなかった従業員すべての従業員に給与の支払いがあったもの」という扱いになるので、Aさんの年収は「96万円+12万円=108万円」となります。パート収入といえども年収108万円の場合には所得税や住民税の対象になることが予想されますし、控除対象配偶者からも外れてしまいます。

社員旅行を企画した場合、良かれと思って実施した「留守番組」へのお手当ては、思わぬ恨みをかうこともあるのです。

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