「交通費込み」で給料を支払うと年収にカウント??
年収にカウントされるということは結局?? |
これについては、所得税法9条に「給与所得を有する者で通勤するものが、その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」という規定があります。
ポイントとなるのは、条文の真ん中あたり「通常の給与に加算して受ける通勤手当」という箇所です。
つまり、「交通費込み」で区分がされずに支払われている給与、本俸に含まれて支払われている給与については全額課税の対象とされてしまう、つまり、年収にカウントされてしまうのです。
「交通費込み」で給料を支払うとモチベーション低下の要因に
交通費と給料本棒を所得税が求める方法で処理していないだけで、支払う必要のない所得税や住民税を支払っていることにもなります。
実際、私のところでも「あとから区分証明をもらうなどして、ナントカ、ならないか」という相談が後を絶ちません。
国税不服審判所でも裁決例が・・・
すでにメルマガにて紹介しましたが、このことについて2008年6月19日国税不服審判所にて裁決が下されています。
ことの概要は、人材派遣会社の派遣社員であるA氏が、派遣会社から支払われた給与のうち、A氏が自身で負担した自宅から派遣先までの通勤費相当額を非課税所得に当たるとして給与等の収入金額から除外して給与所得の金額を計算した上、源泉徴収税額の還付を求める申告を起こしたところから話しははじまります。
ところが、これに対し、当局側は、その通勤費相当額は非課税所得となる通勤手当には該当しないと判断して、更正処分をかけてきたので、この通勤費相当額が課税対象とすべきか、課税対象としなくていいのかということが国税不服審判所での争点となった事案でした。
国税不服審判所の裁決理由とは
国税不服審判所は
・ 給与の支給事態が通勤費込みで支払われていること
・ A氏が自らが負担した通勤費相当額を非課税所得とする規定はないこと
などに着目し、A氏の還付を求める申告よりも、当局の更正処分を適法と判断したのです。
どうすれば問題解決に・・・
このような問題を解決するためにはどうすればいいのでしょうか?
所得税法9条に「通常の給与の加算して・・・」という規定がある以上、会社の経理もそれにしたがえばいいのではないでしょうか。
実は「交通費込み」で、給料を支払っていると、給料を受け取る人のみならず、会社側も余分な税金を払うことにもなりかねません。
その税金の正体とは?なぜ、そうなるのか?次回、解説いたします。