一方、開業医は上記と同じように職業は医師ですが、個人事業主であり、税法上は事業所得者となります。つまり、収入金額(この場合は4000万円)から必要経費を差し引くことによって所得がカウントできることとなるので、クリニックを経営するためのテナントの家賃、看護師や事務員の給料、医療器械のリース代、学会や研究図書費などの支出を考えただけでも、意外と年収800万円の勤務医よりもカツカツになっているかもしれません。
うわべの年収だけでなく、ポイントは所得ということです。
所得税法における職業は10種類
このように同じ医師であっても所得税法は給与所得として取り扱う場合と事業所得として取り扱う場合とがあったりします。「年収いくらくらいまでだったら、税金がかからないの?」なんていう質問が、文面だけの条件だったらまったく答えることができないのも、そのためです。
所得税法における職業、つまり所得区分は10種類。それは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得です。
10種類と数が多く、その区分が難しい場合もあり、しかも、その1つひとつによって収入金額や必要経費の取り決めが相違するので、「税金ってややこしい」という話しになるのです。
ライフステージで考える所得税
しかし、資格試験を目指している人など、ごく一部の人以外はこの10種類の所得区分を押さえる必要はないでしょう。- 就業と税金(⇒アルバイト・パート・正社員に関係)
- 起業・独立と税金(⇒個人事業主・フリーランサーに関係)
- 資産運用と税金(⇒不動産や金融資産の運用に関連するもの)
- 副業と税金(⇒サラリーマンと副業、主婦と副業、副業から独立するためにはなど)
- 年金生活者と税金(⇒年金生活者の必要経費とは?)
したがって、「これだけ読めば税金がわかる」なんていうのは、どこか端折っているか、その対象を絞っていないと不可能です。しかし、就カツ・婚カツ・就業・結婚・独立・リタイアなどその局面局面で、「10種類の所得区分のうち必要な知識とは何か」が見えてくるものです。ライフステージがあっての所得税と考えて、必要な知識を押さえていきましょう。
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