確定申告/ふるさと納税・寄附金控の確定申告

義援金は、確定申告で寄附金控除しよう!

国内や海外の被災者に対して義援金をおくると、寄附金控除によって税金の還付が受けられます。そのために必要な確定申告の手順について解説します。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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東日本大震災に関して寄附金控除が改正に

う~ん、還付を受けるのはなかなか大変だな……

う~ん、還付を受けるのはなかなか大変だな……

未曾有の大災害をもたらした東日本大震災に際しては、世界各国から多大な支援が寄せられました。日本国内においても、多くの法人や団体、個人が、ボランティア活動や義援金、寄付金、ふるさと納税などを通して支援を行いました。

これら支援の広がりを受け、また息の長い支援を望むべく、震災関連の寄付について寄附金控除の内容が次のように一部拡充されました。

  1.  国や災害自治体、日本赤十字社、社会福祉法人中央共同募金会(以下「中央共同募金会」という)やこれに協力する募金団体への義援金については控除枠を拡大
  2.  被災者支援の活動費として中央共同募金会や認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)へ寄付したものについては、所得控除あるいは税額控除のいずれかを選択

この成果でしょうか。平成26年2月17日現在、東日本大震災への義援金(メガバンクや地方銀行、信託銀行、日本赤十字社本社、各都道府県支部等へ寄せられたもの)は3301億7899万2694円に上ります(日本赤十字社のホームページより)。

では、先の震災で広く認識された義援金について、確定申告で寄附金控除を受ける手順をご紹介します。

寄附金控除が受けられる義援金とは

寄附金控除が受けられる義援金とはいったいどういうものなのでしょうか。日本赤十字社のウェブサイトでは下記のように説明されています。
義援金は、災害により生命・財産に大きな被害を受けた方々に対する慰謝激励の見舞金の性格を持つもので、受け付けた義援金は被災された方々に全額、迅速かつ公平に配分されます。

日本赤十字社の事業そのものを支援する「社費(寄付金)」とは、その性質や使途が異なります。

義援金はどのように被災者へ届けられる?

義援金の呼びかけは、日本赤十字社や中央共同募金会、新聞社、放送局、地方自治体などさまざまなところで行われています。それらの義援金はどのように扱われるのでしょうか。

同じく、日本赤十字社のウェブサイトでは次のような解説があります。
義援金は、日本赤十字社だけでなく報道機関など多くの団体が受け付け、第三者機関である義援金配分委員会(被災自治体、日本赤十字社、報道機関等で構成)に拠出されます。義援金配分委員会では、各機関で受付けた義援金を取りまとめるとともに、配分基準を作成し、被災された方々に配分を行います。
集まった義援金は、各市区町村を通して被災された人たちの手元に届けられます。行政が行う被災復興事業等に当てられることは原則としてありません

寄附金控除を受ける手順

少額だから、郵便局で振り込む手間が面倒だから、といった理由で、市役所や街頭の募金箱から義援金を送る人は少なくないでしょう。しかしそれでは寄附金控除を受けることはできません。義援金を寄附金控除扱いにするには、送付先と領収書が重要なのです。

●送金先
  • 国や地方公共団体
  • 日本赤十字社や中央共同募金会、これに協力する募金団体
●領収書など
税務署の相談窓口に問い合わせたところ、義援金を送金したという証拠(領収書や寄附金控除を受けるために必要な書類)を添付する必要がある、ということでした。ただし、振込受領書等でもOKという場合もあります。

例えば「東日本大震災義援金」を日本赤十字社に送金した場合では、領収書以外で寄附金控除の申請に利用できるものとして、
  •  郵便局窓口:振込用紙の半券
  •  ATM:利用明細票
  •  インターネットバンキング:確認画面を印刷したもの
  •  テレホンバンキング:銀行から郵送されるお知らせ
などが日本赤十字社のウェブサイトに掲載されています。なお、日本赤十字社の受領書が欲しい場合は、通信欄に「受領書希望」と記入、あるいはホームページで「事前登録」や「振込後登録」あるいは「入金確認」を行います。

義援金の寄附金控除の計算方法 

個人が義援金をおくった場合、所得税から差し引かれる寄附金控除の計算式は次の通りです。
  • 一般の義援金 
    寄附金控除額(所得控除額)=寄付金額(総所得金額等の40%を限度) - 2000円
  • 東日本大震災に対する義援金 
    寄附金控除額(所得控除額)=寄付金額(総所得金額等の80%を限度) - 2000円
実際に還付される金額は、「寄附金控除額(所得控除額)×所得税率」です。

東日本大震災に対する義援金は、「ふるさと寄付金(納税)(以下「ふるさと寄付金」という)」扱いになります。確定申告で寄附金控除を受けると、翌年度の個人住民税で税額控除を受けることができる、ということです。

すべての義援金が「ふるさと寄付金(納税)」扱いになるかどうかは、把握しておりません。平成23年に設定された東日本大震災以外の義援金(台風12号や鳥取県の豪雪、新潟県や福島県の豪雨での災害ほか)を「ふるさと寄付金」扱いとする地方自治体もあります。支出した義援金の扱いについては、居住している自治体で確認してください。

「ふるさと寄付金」に対する個人住民税の税額控除の計算式は次の通りです。

  1. 基本控除=(寄付金合計-2000円)×10%
  2. 特別控除=(寄付金合計-2000円)×(90%-寄付した人の所得税率)
  3. 控除される金額=1+2

※寄付金合計額は総所得金額等の30%相当額を限度とする
※特別控除の金額は、個人住民税所得割額の10%を限度とする

東日本大震災の義援金は、所得税と個人住民税を合わせて、最大で「寄附金額-2000円」が還付される(上限あり)! すごいですね。

(例)給与収入700万円(配偶者を扶養)の人が義援金3万円を支出した。所得税の税率は20%、個人住民税所得割額は37万1500円とする。
  •  所得税の還付額=(3万円-2000円)×20%=5600円
  •  住民税の基礎控除=(3万円-2000円)×10%=2,800円
  •  住民税の特別控除=(3万円-2000円)×(90%-20%)=1万9600円
  •  所得税の還付額+住民税の税額控除額=5600円+2800円+1万9600円=2万8000円
総務省の「ふるさと納税など個人住民税の寄附金税制」を参考にした。 
※平成26年度~平成50年度は、復興特別所得税が加算された税率になる。

なお、法人が支出した義援金は全額「損金」に算入できます。

「東日本大震災の被災者支援活動」の認定NPO法人への寄付

所得控除と税額控除、所得税だけでなく個人住民税の還付も考えないないと損をするかも……

所得控除と税額控除、所得税だけでなく個人住民税の還付も考えないないと損をするかも

「東日本大震災の被災者支援活動を行う」として国税局長の確認を受けた認定NPO法人(例えばピープルズ・ホープ・ジャパン、日本国際ボランティアセンターなど)への寄付金(平成25年12月31日までに支出するものに限る)や中央共同募金会が募集する「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」については、個人では前出の所得税の所得控除のほかに税額控除を選択することもできます。還付額は、一般に税額控除のほうが多くなります。

所得税の税額控除額の計算式は次の通りです。

税額控除額=(その年中に支出した認定NPO法人に対する寄附金の合計額-2000円)×40%
※寄付金の合計額は、今年の総所得金額等の80%相当額まで
※税額控除額は、所得税額の25%まで

(例)1万円を寄付した場合
税額控除額=(1万円-2000円)×40%=3200円

なお、法人の場合は、指定寄付金として全額損金に算入できます。

申告する寄附金や義援金は1年間の総合計額で、1件当たりの金額ではありません。今年のように多くの義援金が設定された年は、義援金合計が2000円を超えた、という人も多いと思われます。

還付される金額は、最初は少額かもしれません。しかしその分を次の年の義援金にプラスすれば、送金できる義援金が自然に増えていきます。

地球規模で天候異変が起き、災害は増える傾向にあります。当然、義援金を送金する回数も増えてくるでしょう。寄附金控除を活用して義援金を送金し、被災者の方々を少しでも励まそうではありませんか。

東日本大震災に係る指定寄附金一覧表はこちら
確定申告書等作成コーナー(国税庁)

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