在職老齢年金制度が働く意欲を奪っている?
年金をもらいながら働く上で気になる、在職老齢年金制度
さて、この在職老齢年金制度ですが、60歳代の前半と後半で減額方法が違います(ともに平成27年度)。
●60歳代の前半
年金額の12分の1(月額相当)と年収の12分の1との合計額が28万円を超えると、超えた額の2分の1の年金が減額されます。
●60歳代の後半
年金額の12分の1(月額相当)と年収の12分の1との合計額が47万円を超えると、超えた額の2分の1の年金が減額されます。
例えば、60歳代前半の方が年金額が240万円(月額20万円)で、年収が240万円(月額20万円)ある場合、月額6万円の年金が減額されることになります。
せっかく働いても年金が減額されてしまうと、働いたほど(年金と給料を合わせた)手取りが増えないわけで、働くモチベーションが下がるのも理解できますね。
ただし、65歳以上の方については、前出のとおり、年金(老齢厚生年金)の12分の1と給料の合計が月額47万円以内(平成27年度)であれば減額されません。65歳未満よりも基準が少し緩やかなわけです。
また、国民年金から支給される老齢基礎年金は減額の対象外であることから、実際に減額される人はかなり少ないと思います。
【参考】気になる年金受給額。平均いくらもらえる?
なぜ在職老齢年金制度があるのか?
「そもそも、どうして働いたら年金をカットされなきゃならないのか?」そんな疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。理屈上は、「老齢年金はリタイア後の生活保障の意味合いがあるので、リタイアせず働いているなら年金を出す必要はない」となるようです。雇用保険(いわゆる失業保険)と老齢年金も、今は同時にもらうことはできません。失業保険は働く意思があるにもかかわらず、仕事が見つからない65歳未満の人に支給されるものなので、働く意思があるのならリタイアしていないと見なす、ということなのでしょう。
この理屈、確かに筋は通っているのですが、平成12年3月までは在職老齢年金制度はなかったし、雇用保険と老齢年金は併給できたのです。要は年金財政が苦しいので、少しでも支出を減らしたいというのが真相なのでしょう。
年金をカットされない働き方は次のページで>>>