国民年金を払わず、個人年金に加入って?
支給漏れなど不祥事続きの公的年金だが、様々なメリットは活用すべき |
前ページで触れた個人年金のメリットに加え、公的年金の将来の不安や社会保険庁に対する不信感なども、背景にあるのでしょう。しかし、本当にそれで良いのでしょうか?
まず、公的年金への加入は国民の義務です。損だとか、制度への不信という理由で払わないことは許されないことは皆さんもご存知だと思います。そして義務と言う問題以外にも、公的年金には個人年金にないさまざまなメリットがあるのです。
やっぱり公的年金は優遇されている
■税法上の優遇
公的年金も個人年金も税法上の優遇措置が設けられています。優遇措置については圧倒的に公的年金が有利です。国が運営する制度ですから、当たり前のことですが。
保険料支払時について、公的年金は全額社会保険料控除の対象ですが、個人年金は、最大5万円しか控除の対象(生命保険料控除)となりません。
例えば、年間20万円保険料を支払ったとすると、公的年金は20万円全額が所得控除の対象となりますが、個人年金の場合、5万円しか控除になりません。所得控除が多ければ、基本的に所得税も少なくなるわけですから、公的年金が優遇されていることがわかります。
また、年金を受け取る際にも、公的年金については公的年金等控除という特別な控除を設けています。
■国庫負担という名の資金面のバックアップ
更に、年金制度についても、国のバックアップがあります。公的年金については、国庫負担という資金面のバックアップがあります。年金支払いの3分の1は国庫から支出されていますし、事務費(年金運営上の様々な経費みたいなもの)も全額国庫から支出されています。
個人年金の場合、年金支払や、事務費を保険料と運用収入のみで賄わなければならないわけで、この差は少なくないと言えます。
■インフレへの対応
年金は、長い期間受け取るものですから、受け取っている期間、受け取る年金額が一定であっても、物価が上がりインフレになったときに年金額の価値が下がると言う問題があります。
公的年金は、将来物価や賃金水準が上昇した場合に、それに伴い年金額もスライドさせる「物価スライド」システムを採用してきました。「マクロ経済スライド」で完全にスライドされなくはなりますが、ある程度対応されますが、個人年金には、このスライドシステムがありません。
これらのメリットは、国が運営している制度ならではのことで、個人年金にはないメリットでもあります。最近不祥事が発覚した年金制度ですが、やはり公的年金を老後の生活の基本とするのが理想です。
公的年金でどれだけ足りないのかを、しっかり分析し、不足分を補う手段として個人年金を効率的に活用するのが良いと思います。
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