在職老齢年金制度とは
国民年金から支給される老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象外となる
具体的には、給料と年金12分の1の合計額が
・60歳~64歳 28万円
・65歳以上 47万円(平成27年度)
を超えると年金がカットされます。
例えば、
・年齢 60歳~64歳まで
・給料 47万円以下
・年金月額 28万円以下
ならば、以下の計算式で導き出された額がカットされます。
(給料+年金月額-28万円)×1/2
給料24万円、年金月額10万円のケース
それでは、具体的にカット額を算出してみましょう。・給料 24万円
・年金月額 10万円
の場合、先ほどの計算式に当てはめてみると、
(24万+10万-28万)×1/2=3万円
すなわち、このケースでは年金が月額3万円カットされることになります。このケースは月額の年金が10万円ですから、10万円-3万円=月額7万円が支給されます。
しかし、同じ給料、同じ年金月額でも、年金カットが何と「10万円」となる場合もあるのです。要は「全額カット」ということです。
同じ給料、年金額で一方は3万円カット、一方は全額カット。何故こんなこと(格差)が起こるのでしょうか?
在職老齢年金制度における「給料」の考え方
年金カットの計算式は総報酬月額と年金月額によって変わる。今回の計算式以外にもある。詳しくは早見表で確認するか、年金事務所等で相談すること
在職老齢年金のカット額を決める際の「給料」とは、正式名を「総報酬月額相当額」といい、標準報酬月額と標準賞与額の年間総額を12で割った金額となります。
標準報酬月額とは、月給と考えて良く、標準賞与額とは、1年間に受け取るボーナスと考えて良いでしょう。先ほどの格差は、「月給は同じでも賞与(ボーナス)の額が違うため」に起こることになります。
具体的に「総報酬月額相当額」がどのように決まるかを見てみましょう。例えば、平成27年8月の総報酬月額相当額については、以下2つの合計額で決まります。
・8月の標準報酬月額
・平成26年9月から平成27年8月(直近1年間)に受けた賞与額の合計の12分の1
定年退職直後1年間は要注意
ですから、給料は一定でも直近1年間に受け取った賞与の額に差があれば、カット額を決める総報酬月額相当額も差が出てくるわけです。例えば、
・8月の標準報酬月額が20万円
・直近1年間の賞与 48万円
だと、月額の20万円+賞与(48万)の12分の1(=4万円)で「総報酬月額相当額」が24万円になります。
一方、
・1月の標準報酬月額が20万円
・直近1年間の賞与 240万円
だと、月額の20万円+賞与の12分の1(=20万円)で「総報酬月額相当額」が40万円となります。
この総報酬月額相当額40万円(年金月額は、先ほどと同じ10万円)でカット額を計算すると、
(40万円+10万円-28万円)×1/2=11万円
年金カット額が11万円となり、年金月額10万円より多くなるため、支給額がゼロ「全額支給停止」となってしまうわけです。
定年後、賞与は無し(あるいは大幅にダウン)になったけど、定年前の賞与はけっこうもらっていたという方は多いのではないでしょうか。年金カットの計算には、今(これから受け取る)の賞与額ではなく、過去(1年間)の賞与額が使われます。図に示すとこんな感じです(画像参照)。
黄色部分だけで計算してしまうと大きな見込み違いが!
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