「儲けやすい」より「負けにくい」が、結局、資産を増やす
リスクとリターンは表裏一体。リターンだけを取り上げて、金融商品の実力を語ることはできません |
「いくらダメージが抑えられるといっても、儲けもチョビチョビだなんて……。投資のやりがいが感じられない」と思うかもしれませんね。
資産運用は、短期間で答えを出すべきものではありません。数年、数十年かけて資産を作っていくものです。この長期の資産運用では、儲けやすいけど、損も大きい」投資方法よりも、「儲けにくいけど、負けにくい」投資方法、つまり投資信託のような商品がとても大きな力を発揮します。
「大負け」は、それまでの苦労を無にする
<100万円を、2人の投資家が運用>
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元本100万円を運用。左欄の運用利率で運用した結果が、右側の「運用後の資産額」。1年間で得た利息は、元本に足して、次の年の運用にあてる(=複利運用)。税金等は考慮しない。
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上の表を見てください。2人の投資家が、100万円で投資を始めました。Aさんは、大きな儲けを狙う投資家です。1年目は利率10%で運用できて、100万円が110万円になりました。2年目は20%を達成。3年目は予想がはずれてしまい、?20%。資産を減らしてしまいます。4年目は10%で、少し挽回しました。
Bさんは、投資信託のように複数の銘柄に投資して、負けにくい運用を心がける投資家です。その結果、4年間ずっと5%ずつの運用でした。大きく儲けることもないかわりに、負けることもありませんでした。
AさんもBさんも、4年間の平均の運用利率は5%です。でも、100万円が4年後にいくらになったかを見てください! Bさんのほうが約5万円も多いのです。
20%負けは、20%勝ちしても挽回できない!
Aさんの3年目の負けは、それまでせっかく積み上げてきたものを大きく減らしてしまいました。失った金額は、当初の100万円の20%で20万円、ではありません。複利運用(得た利息を元本に足して、次の運用にあてること)によって、3年目の投資元本が132万円になっていたため、損失は約26万円になりました。資産を増やすために有効な「複利効果」が、マイナス方向に働いてしまったのです。?20%の負けから、もとの金額まで挽回するには、+20%の運用では間に合いません。+25%の運用が必要です。子どもの教育費やマイホーム資金、老後の生活費など、数年かけてお金を準備しようというとき、途中で「負け」が発生することは大きなダメージになります。そこで、負けにくい商品である投資信託の価値が発揮されるのです。
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