奨学金を利用すると、教育費の負担を分散させることができる
奨学金制度を利用することにより、短期間に集中する教育費の負担を、長く延ばせて薄めることができます。家計の負担を軽減することができるので、上手に活用していきたいところです。
奨学金制度の利用者は10年間で1.5倍に
文部科学省が平成24年6月に発表した「日本学生支援機構の奨学金貸与事業の概要」によると、平成15年度以降の10年間で奨学金の利用者は増加。当時の86.6万人から平成24年度には約1.5倍の133.9万人になり、大学生の約3人に1人が貸与を受けていることになります。奨学金はより身近な制度になってきました。私立に比べて授業料が安い国立大学の授業料も、1年おきに値上がりしています。教育費に関しては必要な時期がはっきりしているので、できるだけ早く対策を立てて準備をしておくことが賢明です。
教育費を準備してきたものの、それだけでは足りないという時に心強い味方になる、日本学生支援機構の奨学金制度をご紹介します。
日本学生支援機構とは
日本学生支援機構とは、文部科学省が所管する独立行政法人で、主に学生への貸与奨学金事業・留学支援などを行っています。日本で一番大きな奨学金制度を運営する組織で、奨学金制度は第一種(無利子)、第二種(有利子)の2種類です。対象となる進学先が多岐にわたっているのでとても利用しやすく、教育資金の有力な助っ人です。
「第一種奨学金制度」は利用のハードルが若干高い
■対象大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)に在学する学生・生徒や、今年度に高等学校及び専修学校(高等課程)を卒業予定の生徒など。
■利息
無利息です。
■貸与額
学種別・設置者・入学年度・通学形態別に定められています。平成24年度大学の場合(貸与月額)は以下のとおりです。上記の金額か3万円(月額)を選択できます。
- 国公立
自宅通学 4万5000円
自宅外通学 5万1000円 - 私 立
自宅通学 5万4000円
自宅外通学 6万4000円
■収入等の制限の目安
親の収入が一定の金額を超えると奨学金が借りられない場合があります。世帯の家族の人数や、進学する大学が国公立か私立か、自宅からの通学か自宅外からか、親が給与所得者かそれ以外か(自営業など)によって、収入制限の金額が異なります。例えば、親が会社員の4人世帯で進学先が公立大学(自宅から通学)の場合だと、907万円が目安になります。
■選考
特に優れた学生・生徒で、経済的理由により著しく修学困難な者に貸与するとされています。
このように第一種奨学金制度は、無利息で学費を借りることができるありがたい制度ですが、一方で学業の成績選考のハードルが高く、借りることができる金額も限定されています。
選考が緩やかで借入額の自由度も高い「第二種奨学金制度」。詳しくは次ページ>>>