学費・教育費/学費・教育費の平均データ

学歴と生涯賃金の関係【最新版】

子どもの教育資金を設計する際には、大まかに進路を想定することが必要です。その際のひとつの目安として学歴と生涯賃金の関係を見てみましょう。高卒よりは高専・短大卒、高専・短大卒よりは大卒・大学院卒のほうが、生涯賃金が高くなることがわかります。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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学歴と生涯賃金との関係

教育資金を準備する際には、子どもの進路を想定する必要があります。その判断材料のひとつとして、学歴と生涯賃金との関係に注目してみましょう。
生涯賃金

教育費と生涯賃金

 

生涯賃金ってどれくらい?

子どもの進路を想定する際、何も基準がなくては判断できません。そのため、学歴によって異なる生涯賃金のデータを見ておきましょう。

下の金額は、労働政策研究・研修機構が発表した「ユースフル労働統計2021」のデータで、2019年時点の性別・学歴別にみた生涯賃金です。就職から定年まで同一企業に勤続した場合の金額で、定年は60歳。退職金や年金は含まれていません。

正社員での比較であるにもかかわらず、男女格差が大きい理由としては、男性が将来の管理職や幹部候補となりうる「総合職」が多いのに対し、女性は総合職の支援を行う「一般職」での採用が多いためではないかと思われます。

生涯賃金【同一企業型、退職金は含まず】
■2019年
<男性>
高卒……2億5550万円(42年間)
高専・短大卒……2億4820万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億8780万円(38年間)

<女性>
高卒……1億8850万円(42年間)
高専・短大卒……2億320万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億4030万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2021」より

以下は、1995年以降、5年ごとの生涯賃金の推移です。参考までに掲載しておきます。

生涯賃金【同一企業型、退職金は含まず】
■2015年
<男性>
高卒……2億5380万円(42年間)
高専・短大卒……2億5220万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億8920万円(38年間)

<女性>
高卒……1億8590万円(42年間)
高専・短大卒……2億350万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億4110万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2021」より

■2010年
<男性>
高卒……2億4490万円(42年間)
高専・短大卒……2億3980万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億7620万円(38年間)

<女性>
高卒……1億8090万円(42年間)
高専・短大卒……2億460円(40年間)
大卒・大学院卒……2億3910万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2021」より

■2005年
<男性>
高卒……2億5910万円(42年間)
高専・短大卒……2億6340万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億9450万円(38年間)

<女性>
高卒……1億8990万円(42年間)
高専・短大卒……2億1530万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億5520万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計」(過去分)より

■2000年
<男性>
高卒……2億7600万円(42年間)
高専・短大卒……2億8070万円(40年間)
大卒・大学院卒……3億520万円(38年間)

<女性>
高卒……2億500万円(42年間)
高専・短大卒……2億3410万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億7540万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計」(過去分)より

■1995年
<男性>
高卒……2億8430万円(42年間)
高専・短大卒……2億8300万円(40年間)
大卒・大学院卒……3億2060万円(38年間)

<女性>
高卒……2億780万円(42年間)
高専・短大卒……2億3120万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億7290万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計」(過去分)より

上記は同一企業に勤め続けた場合のデータでしたが、現実には転職などもあり得ます。

以下のデータは「フルタイム勤務」(正社員・同一企業とは限らない)の生涯賃金です。転職したケースも含まれるデータですが、同一企業に勤め続けたケースと比べ、生涯賃金が下がるのがわかります。

生涯賃金【フルタイム勤務(正社員・同一企業とは限らない)、退職金は含まず】
■2019年
<男性>
高卒……2億410万円(42年間)
高専・短大卒……2億910万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億6290万円(38年間)

<女性>
高卒……1億3700万円(42年間)
高専・短大卒……1億6470万円(40年間)
大卒・大学院卒……2億140万円(38年間)

※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2021」より
 

学歴が上がるほど生涯賃金もアップ

データを見ると、高卒よりは高専・短大卒、高専・短大卒よりは大卒・大学院卒のほうが、生涯賃金が高くなることがわかります。つまり、「学歴が高くなるほど、生涯賃金もアップする」ということがいえるでしょう。

現実には、業種による差や、会社の規模による差、転職の有無で例外となるケースもありますが、平均で見た場合は、学歴の高さと生涯賃金は比例しています。

ちなみに、2019年の同一企業型のデータで見た場合、大卒・大学院卒と高卒の差は、男性の場合で3230万円あります。つまりは、大学進学のための塾代など追加的にかかる教育費が3230万円未満で、しかもその額が抑えられれば抑えられるほど、大学・大学院へ行く投資効果が上がることになります。
 

女性のほうが学歴の投資効果が大きい?

数字をよく見ると、2019年の大卒・大学院卒と高卒の生涯賃金の差は、女性の場合で5180万円。男性の3230万円と比較して1.6倍になっています。

高卒で働く女性は、昇給などの少ない一般職が多く、生涯賃金が抑えられているためではないかと推測されます。

よく考えてみると、5180万円もの差があるなら、男性よりも女性のほうが学歴への投資効率がよいと見ることもできそうです。

ただし、あくまでもこのデータは、1つの会社で60歳まで働き続けた場合のものです(退職金含まず)。結婚や妊娠・出産で仕事を辞めてしまうと、そもそも生涯賃金は大幅に下落します。
 

1995年と比べ高卒・大卒ともに生涯賃金が大幅ダウン

時系列でも見てみましょう。1995年と2019年の同一企業型を比べた場合、恐るべき変化に気づかされます。

過去24年間で、高卒の生涯賃金は、男性が2億8430万円→2億5550万円へと2880万円ダウンしています。女性の場合は、2億780万円→1億8850万円と1930万円のダウンでした。

大卒・大学院卒の場合はさらに大きな変化があります。男性が3億2060万円→2億8780万円へと3280万円もダウンし、女性の場合は2億7290万円→2億4030万円と3260万円のダウン。

過去30年ほど、賃金が上がらない(下がり続けている)ことは大きな問題ですが、一方で、高卒と大卒の差も縮んでいます。男性では、1995年時3630万円→2019年時3230万円と、▲400万円下がりました。女性では、1995年時6510万円→2019年時5180万円と、▲1330万円低下しています。「学歴」という付加価値も下がっていると見るべきなのかもしれません。

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【参考資料】
ユースフル労働統計2021
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2021/documents/useful2021_21_p312-356.pdf
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