晩婚化で増える「遅産みさん」

遅産みさんは長期のお金のやりくりの工夫が必要です

遅産みさんは長期のお金のやりくりの工夫が必要です

晩婚化の影響もあって、30代後半や40代で子を持つ「遅産みさん」世帯が増えています。

厚生労働省「人口動態調査(令和2年)」によると、昭和60年時点では、女性が出産する年齢は25~29歳が47.7%と最も多かったものが、平成17年に逆転して以降は30~34歳が中心になり、割合も年々増えています。

35~39歳で出産する女性は、昭和60年は6.5%だったものが、平成30年以降は23.0%を超え、ほぼ4倍です。40歳以上の出産は、0.6%→5.8%とほぼ10倍に増えています。

第1子、つまり初産に限定して人数をみると、令和2年の出産年齢で最も多かったのは、「25~29歳」で13.1万人、次いで「30~34歳」が12.7万人でした。次が「35~39歳」の6.4万人で、さらに「20~24歳」の4.5万人と続きます。「40歳以上」の初産も1.7万人います。
 

遅産みさんの育児は体力が必要

WHO(世界保健機関)では30代後半以降の出産を「高齢出産」としていることから、当コラムでは30代後半以降の出産を「遅産みさん」と呼ばせていただいています。

いまでは決して少数派ではなくなってきた遅産みさん。私の周囲にも、40歳前後で第1子を授かった方もたくさんますが、育児期間は体力面できつそうです。

半面、遅産みさんは、共働きなら経済力があることが多く、また、母親が仕事である程度のキャリアを積み、さまざまな経験もした後なので、精神的にもゆとりを持って子育てができるというメリットがあるともいわれています。
 

三大支出のバランスに注意!

ただし、遅産みさんならではの注意点があります。

遅産みさん世帯は、今は世帯収入が高くても、その高い収入が維持される期間は決して長くはありません。ずっと働くつもりでいても、一般的に、55歳以降は役職定年等もあり、収入が低下します。定年後はさらにダウンします。

そのため、「人生の三大支出」のバランスをとることに気を遣う必要があるのです。三大支出とは、マイホーム、子ども、老後にかかるお金です。
 

マイホームを買うなら退職金をあてずに買える規模に

まず、マイホーム資金。これからマイホームを取得する場合は、住宅ローンを返済しつつ、子どもの教育費という大波を乗り切っていかなくてはなりません。並行して老後資金の準備も進める必要があります。

「退職金で住宅ローンの残債を返せばいいや」などといった甘いローンプランは避けたいもの。
これから買うのであれば、頭金をたくさん入れて、できるだけ定年前後で返し終えることができるような、ムリのない規模に予算を抑えましょう。

場合によっては、マイホームのレベルを落とす必要があるかもしれませんが、退職金は老後資金と考え、住宅ローン返済に回さないことも大事です。
 

教育資金をしっかり準備

次に教育資金ですが、遅産みさんだけに限りませんが、子どもが生まれたらすぐに積立を始めるなど、計画的な準備が必要です。

国公立中心で大学のみ私立文系の例であれば、受験から大学時代の分として、自宅通学なら300万~500万円、下宿になりそうなら500万~700万円を目標に準備しておきましょう。

私立中高一貫校を考えているのであれば、私立に入ってからは、教育費が年間100万~150万円のペースでかかり続けます。それに耐えられるようにしておく(貯蓄しておく、あるいは世帯収入を上げておく)ことが大事です。

年代的には、すでにある程度の貯蓄がある世帯も多いでしょうから、その中から、「教育資金用」の貯蓄をあらかじめ確保してしまうのも手です。
 

老後資金の準備は油断をしない

最も注意したいのは、老後資金の準備です。

遅産みさんの場合、住宅ローンの返済や教育費負担が重くなる時期などと重なるため、意識せずにいると、ついつい後回しになってしまいます。

老後資金は一気に貯めることはできないので、「細く長く」準備をすることが大事です。少額でもいいので、毎月の積立は並行して行いましょう。積立は「iDeCo」や「つみたてNISA」を使った投信積立でもいいでしょう。

老後資金の目標額は、どのような暮らしをしたいかによって変わりますが、一般的には、会社員・公務員世帯なら、退職金を含め3000万円以上を目安に準備をしましょう。自営業で退職金がなく、公的年金が不十分な人は、さらに高めの目標にしておくと安心です。
 

「親の介護」も見過ごせないリスク

三大支出ではありませんが、「親の介護」も見過ごせないリスクです。

親の介護による影響は、個々の状況で異なります。介護にかかる費用自体は親自身のお金でまかなうのが原則ですが、遠距離介護ならサポートをするのに頻繁に通うことになります。施設介護に入所しても、定期的な訪問は欠かせません。

そのため、介護に関わりやすくするために、残業のない部署に変わったり、転職をするなど、収入減になる可能性もあります。

収入減に備えるために備え、多少の準備はしておきたいもの。このお金は、使わなかった分は自分たちの老後資金に回すこともできます。

* * *

遅産みさんの年代は、こだわりが強くなる年代でもあります。住宅や子どもの教育は「こうでないといけない」という理想が高くなっていることもあるかもしれません。しかし、3大資金のバランスを考えずに理想を追求すると、ツケは老後に回りかねないということは忘れないようにしましょう。

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