住宅ローンの借り換え・返済/住宅ローンの繰り上げ返済まるわかり

繰り上げ返済は変動金利型を優先すると安心(2ページ目)

「フラット35と変動金利型」など複数の金利タイプを組み合わせて借入れしている人も増えています。また、ボーナス返済を併用している人も多くいるでしょう。複数の住宅ローンがあるとき、繰上返済は、どの住宅ローンから行っていくのがよいのでしょうか?

高田 晶子

執筆者:高田 晶子

住宅ローンガイド

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金利上昇に備える繰上返済

現在の金利だけで見ると、金利が高いのは長期固定金利。原則から考えると、金利が高いものに繰上返済した方が効率的ですから、長期の固定金利型のローンに充てた方が良いように思うでしょう。

しかし、金利が変動するタイプのものは、今の金利だけでなく将来の金利も影響するということを忘れてはなりません。

<将来金利が上昇した場合の例>
2,000万円を金利2.5%全期間固定・30年返済、1,000万円を金利1.2%3年固定・30年返済で借入れ。元利均等返済、ボーナス返済なし。

4年目に、3年固定の金利が3%になり、完済まで金利がそのままだった場合。当初の返済額は、全期間固定部分が約7.9万円、3年固定部分が約3.3万円、合計約11.2万円。

●ケース1 
24回返済時に、100万円を全期間固定に繰上返済。利息軽減効果は、約90万円。
⇒4年目からの3年固定部分の返済額は約4.1万円となり、毎月返済額は合計約12万円に。

●ケース2
24回返済時に、100万円を3年固定に繰上返済。結果的に利息軽減効果は、約98万円。
⇒4年目からの3年固定部分の返済額は約4万円。毎月返済額は合計約11.9万円に。

このケースでは、結果的に3年固定の方が金利が高くなってしまったため、繰上返済当時では金利が低かった3年固定に充てた方が、利息軽減効果が大きく、また、少しではあるものの、4年目以降の返済額の軽減にもつながっています。

2年目で繰上返済をせずに、4年目に3年固定の金利が上がる際に、返済額軽減型で繰上返済を行うと、4年目からの3年固定部分の返済額は約3.6万円。毎月返済額は合計11.5万円となり、当初の返済額から約3千円のアップですみます。ただし、利息軽減効果は約46万円と少なくなりますが、利息が軽減されたことには変わりはありません。

金利の変動による、毎月返済額の急激な上昇を抑えるためには、変動した際に返済額軽減型を利用して繰上返済を行うと効果的です。そのために、途中で繰上返済せずに、手元に資金を置いておき、金利の変動を見極めてから繰上返済すると良いでしょう。

しかし、本来は、早い時期に繰上返済をした方が効果は大きいです。金利変動による返済額アップに備えておくのであれば、金利はあまり気にせず、金利変動のあるタイプ(ここでは3年固定)に、返済額軽減型で早い時期に繰上返済を行っておくと、リスクヘッジにつながります。

繰上返済は、何のために行うのかという目的によって、どの住宅ローンから、いつ、どのような方法で行ったらよいかが変わってきます。損得だけに目がいくことのないよう、目的の優先順位を見極めて賢く行っていきましょう。
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