担保割れを防ぐためにも頭金は重要
頭金がなかったために、将来売却したいときに、売却できない事態も。 |
ところが、せっかくの資産も売却できなければ、このような対策も取れません。売却しなくてはならない時に、売却できるようにしておくこと、これも将来へのリスク対策です。では、売却したいのに、売却できない事態とはどのような場合でしょうか?
例えば、3,500万円で購入したマイホームを、8年後に売却、この時点での価額が2,500万円になっていたとします。35年返済、金利3%で住宅ローンを借入れしていた場合、頭金なしで購入した場合と、頭金2割で購入した場合の8年後のローン残高は、次のようになります。
・頭金なし、3,500万円借入れの場合 ローン残高は約2,988万円
・頭金2割、2,800万円借入れの場合 ローン残高は約2,391万円
売却するには、住宅に設定されている抵当権を抹消することが条件となります。つまり、住宅ローンを完済しないと売却することができません。頭金なしで借入れしていた場合には、約2,988万円のローン残高がありますが、売却価額が2,500万円の場合には、売却した金額だけでは完済ができず、自己資金から488万円を補填しなくてはなりません。
しかし、もし、家計が厳しく売却せざるをえない場合には、この自己資金を捻出することはできるでしょうか?おそらく、その余裕はなく、結果、売却できないという可能性が高くなります。一方、頭金2割を入れていた場合はどうでしょうか?売却するための諸費用は別途必要になりますが、住宅ローンの残高分については、売却価額でカバーすることができます。
売却だけではなく、借換えの場合にも、担保割れでも借入れできるローンはありますが、担保割れしていなければ、借りられる住宅ローンが増え、より有利なローンへの借換えが期待できます。
頭金が少なくても、その後、繰上返済し担保価値程度のローン残高にしておく、貯蓄をきちんとしておく、などでもこれらのリスクはカバーできますが、当初の頭金が多い方が備えやすいですね。
頭金は、なくてはならないものではありませんが、頭金が多いことによって、より支払額を減らすことができたり、将来へのリスクへの備えにもなるのです。頭金はこのような意味でも、とても重要なものであるという認識をぜひ持っていただきたいと思います。
【住宅ローン完全マニュアル】
住宅ローン完全マニュアル【基礎編】(住宅ローン)