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保険会社も保険に入っているってホント?(2ページ目)

保険会社も実は保険に入っているってご存知でしたか?今回は世界最大の再保険引き受け組織、英国ロイズ保険組合のお話です。

松本 進午

南海泡沫事件

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王立取引所の前です。今も多数の献花が供えられています・・・
1720年に南海泡沫事件が起き、ロンドンの証券市場は崩壊の危機に瀕することになります。この事件によって保険引き受け業者が2社に限定され、その後この2社も不祥事により海上保険から撤退したことから、海上保険はロイズの独壇場となりました。

1774年、アンダーライターにより組織されたロイズ委員会はコーヒー・ハウスを王立取引所の中に置くことになります。ここでロイズはコーヒー・ハウスから保険引受市場そのものとなり、ロイズ委員会も1871年のロイズ法制定を受け法人化され、ロイズ保険組合となって今日に至ります。

保険引受人のステータス

ロイズ保険組合は、ブローカーと呼ばれる代理業者とアンダーライターを会員とする自治組織で、一般の保険会社とは異なり、それ自体では保険の引き受けを行いません。法人としてのロイズは、取引の場所と事務処理サービスを提供するのみで、実際の保険の引き受けについては、会員である個々のアンダーライターがシンジケートというものを組織して、無限責任(つまり支払額に上限はありません!)をもって行なう仕組みになっています。

ところで、ロイズへの保険加入の申し込みはブローカーを通じて行ないます。ブローカーは保険証書を持ってロイズの各シンジケートのアンダーライターを回って交渉を行ない、保険の引き受け手を探します。ちなみにアンダーライターという呼称は、引き受けの際に保険証書の下の方に署名をしたところからきており、別名「ネーム」と呼ばれたりもします。

保険の引き受けは事故がなければ高いリターンを見込むことができるビジネスですが、ロイズのアンダーライターたちは無限責任ということで、非常に大きなリスクを負っています。しかし、ネームとしてのステータスは非常に高く、つい最近までこのネームとなる資格は個人にしか与えられていませんでした!イギリスのお金持ちはケタが違うということでしょうか・・・とはいえここ数年の自然災害の影響で、そのお財布は確実に傷んでいるはずです。


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