資産運用/資産運用の注意点とリスク

投資信託のトラッキング・エラー(2ページ目)

投資の理論を学んで合理的な考え方を身につけましょう!そのための大事な指標はベンチマーク。それとのかい離率を示すトラッキング・エラーは投資信託のスタイルを表しています。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

  • Comment Page Icon

T・Eの違いは投資している銘柄構成の違い

トラッキング・エラーの違いは、ファンドの中の銘柄構成によります。基本的にベンチマークと同じ資産配分(銘柄構成)にすれば、TEは小さくなります。TEが小さいということは、パッシブ運用ということで、パッシブ運用の極致がインデックスファンドの利用です。

そして、アクテイブ運用を志せば意図的に異なる資産配分(銘柄構成)を作り、その分だけ超過収益(アルファ)を狙いに行き結果としてTEが発生してきます。この数値を見ればファンドの特徴が分かりますし、逆に数値目標を持つことでファンドの特徴を作ることができます。日本の運用会社では、トラッキング・エラーを運用の自由度を図る指標として使っているところが多いようです。

T・Eにとらわれないアグレッシブなファンド

しかし、トラッキング・エラーにとらわれないで運用するというアグレッシブなファンドもあります。たとえば、JPモルガンのJFザ・ジャパンというファンドですが、設定来の超過収益が66.7%なのですが実績トラッキング・エラーは4~25%と小さくありません(ファンドとTOPIXの月次リターン格差のばらつきが最小で4%、最大で25%の時期があった)。

このファンドの銘柄構成の特徴は、ベンチマークの構成比を参照しないということです。つまり、自由な発想により独自のシナリオの元に銘柄構成を創造しています。このようにアクテイブなファンドマネージャーには、トラッキング・エラーを目標として運用をすることは超過収益をあげることの障害となると感じているはずです。ベンチマークに潜む偏りや歪みを発見して、あえて異なる配分を作るので、トラッキング・エラーは自然と大きくなります。

とはいえ、運用会社としては、結果として出てくるトラッキング・エラー値を運用評価のチェックポイント(ファンドマネージャーの評価基準)としていることでしょう。ただ、TEを目標として運用することと、結果としてチェックされることは、運用スタイルとしてまったく異なることとなります。

さて、トラッキング・エラーのお話、いかがだったでしょう?少し難しいと感じた人は、具体的な投資信託を題材にして証券会社に聞いてみるとよいでしょう。

●   ●   ●   ●   ●   ●

【資産運用の理論を学ぼう バックナンバー】

・シャープレシオは投資の効率性を示す指標
・ベンチマークは投資の評価基準
・超過収益率と運用手腕の評価
・リスクとはバラツキのことだった
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で資産運用関連の書籍を見るAmazon で資産運用の書籍を見る
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます