■これから家を買う人の対策は?
まだ家を購入していない人で、このコラムをここまで読んでびっくりした人は、住宅購入計画を一から見直したほうがいいかもしれません。びっくりした、ということは自分が家を買ったときに、返済が年収のどれくらいになるか、どれくらいまでなら耐えられるか、メドがついていないということだからです。
検討をこれから行っていく際のポイントはまず「借りられる額=返せる額、じゃない」ということを頭に入れるということです。もっとよい部屋やもっとアクセスのよい物件を買いたいと思うのは当然の願いですが、その代償に返すのが苦しい金額を借りてしまうことのないようにしなくてはなりません。
その意味では、一つの目安は「今払っている家賃の年間支払額以上を住宅ローンの年間返済額」にしないということです。ポイントは「年額」で見ること。毎月の返済額は今の賃貸よりも安いから、といって気軽に住宅ローンを組む人がいますが、ボーナス返済には注意が必要です。
たとえばボーナスごとに40万円返済するとして、ボーナスが20万円になったらどうしますか? 貯金を取り崩していられるうちはよいですが、いつまでもつかも分かりません。ボーナス払いを併用するのはボーナスがカットされる時代にはとても危険です。
また、自分にとって、長期的に適切に返せる額を考えるときには「もはや年収は毎年少しずつ増えるとは限らない」ことと「むしろ年収は減る可能性もある」ことについて考えなくてはいけません。返済計画を試算してもらったときに、自分の収入が毎年数%ずつ増えるような試算についてはやり直してもらうくらいの心構えが必要です。自分の未来をポジティブに予想するのは大切ですが、こういうときは、自分の将来性を堅実に評価しておいたほうがいいでしょう。
その意味では住宅購入の頭金に積み立ててきたお金を全額使ってしまうようなことも避けたほうが賢明です。というのも、自分が失職した場合どれだけ持ちこたえられるか、余裕を考えておくことが必要だからです。借りる額が少ないに越したことはありませんが、貯金を全額はたいて住宅を買った途端、会社が潰れた、というのでは、首が回らないことになってしまいます。
とにかく、自分の稼げる能力と返せる能力に見合った物件選びが必要だということです。もっとよい家が欲しい人はもっと稼げるようにならなくてはいけないということです。
そして、王道として言えるのは、「できるだけ少なく借り、できるだけ早期に返済する」こと。自分の家計を一番理解しているのは自分自身です。そして最終的な責任を負うのは自分自身にほかなりません。
家を買うということは、文字通り「一生モノ」の買い物をするということです(正確には「一生モノの借金」といえます)。不動産業者や金融機関のアドバイスを借りながら、自分できっちり納得して余裕を持った住宅選びを考えてください。
[All About 内の他のコーナーも覗いてみましょう]
■「住宅・インテリアチャネル」
→完済で家を買う
→首都圏で家を買う
→家を建てる
→住宅ローン
→はじめてのマンション購入
[次のページはすでに家を買っている人の対策です→GO]