代行返上すると年金の受け取り先が変わる!
この「代行返上」、1700くらいあった厚生年金基金のうち、500以上が実施することをすでに決定しています。ざっくり計算すると会社員の6人に1人以上がこの代行返上の影響を受ける可能性があります。特に大企業の社員ほどこの影響を受ける可能性は高いのです(その理由は「会社編」で)。さて、代行返上になるとどうなるのでしょう? 代行返上になると「国の厚生年金の一部」について厚生年金基金が積み立てていたお金を国に返却することになります。それとともに、その部分の年金を受ける権利も厚生年金基金から国へ移動することになります。つまり、代行返上すると年金の受け取り先が変わることになるのです。
簡単にイメージを表すとこんな感じです。
[代行返上前(厚生年金基金があった場合)]
国からもらう………基礎年金と厚生年金の一部:a
基金からもらう……代行部分(厚生年金の一部:b)
基金からもらう……企業オリジナルの企業年金部分:c
[代行返上後]
国からもらう…………………基礎年金と厚生年金:a+b
新しい企業年金からもらう…企業オリジナルの企業年金部分:c’
a+bの金額については代行返上する前も後も、基本的には変わりません。つまり、国の厚生年金の分については、特に年金がカットされる、ということはないわけです。むしろ、シンプルになったかもしれませんね。
しかし、それで安心かというとそうではありません。ほとんどのニュースでは触れられていませんが、代行返上が私たちに影響を与え始めるのは実はこれからなのです。――そう! cがc’に変わる過程をチェックしなければいけないのです。