一時期、株価を下げる犯人のひとつとして「代行返上」という言葉が毎日のように経済紙で見受けられました。テレビのニュースでも取り上げられたので、ご存じの方もいるでしょう。しかし「代行返上」が具体的にどういう意味か、自分にどんな影響を及ぼすか分かりますか? 意外にこれが難しいキーワードなのです。

そこで、今回のコラムでは「代行返上」というキーワードについて取り上げてみたいと思います。代行返上を理解するには、社員に与える影響と、会社に与える影響とを整理しながら考えるとポイントが絞りやすくなります。そこで社員にもたらす影響については「社員編」として、会社が受ける影響については「会社編」としてコラムをまとめてみることにします。

※2014年4月からの影響など、最新情報については「2014年4月、厚生年金基金が大きく変わる!」もあわせてご覧ください。

代行返上って何だ?

代行返上とは、代表的な企業年金制度のひとつである厚生年金基金について、会社が預かっていた国の厚生年金の一部についてその資産を国に返上し、厚生年金基金を別の企業年金制度に変更することです。

……と書くと、さっそく、ちんぷんかんぷんでしょう。順を追って説明します。企業が退職金を年金払いで社員が辞めたときに支給してくれる制度のことを企業年金といいます。厚生年金基金というのはそのひとつです。会社員の3人に1人はどこかの厚生年金基金に加入しているといわれています。

この厚生年金基金という制度は、「国の厚生年金の一部を積み立て~支払いまで行う部分」と、「各企業ごとのオリジナルの企業年金の部分」が組み合わさってできています。どうしてそんなややこしい制度なのかはさておき、この国の厚生年金の一部を厚生年金基金側で積み立てている部分のことを「代行部分」というのです。

で、この「代行部分」について、積み立て~支払いまでを厚生年金基金が担当するのを止めて、国にその分を返却することを「代行返上」といいます。厚生年金基金は、代行部分と企業オリジナル部分の組み合わせでできていますので、代行部分がなくなった場合、厚生年金基金とはもう呼べません。そこで、制度を他の企業年金制度に変更しなくてはいけないということになるのです。