未納者の数は340万人、5%以下!?
そもそも未納している人がどれくらいいるか、皆さんはご存じでしょうか。ニュースなどでは「若者の50%が未納」とか報道されているので、たくさんいるのだろうなと思っていると思います。日本人が1億27百万人くらいですから、まさか6000万人くらい未納しているのでしょうか。実際のところ、未納者の数は昨年3月末の時点で約340万人程度です(→資料はこちら)。「意外に少ないものだな」と思いませんか?
内訳を整理してみますと、まず国の年金に加入している人の数は7059万人くらいです。これは20歳未満の子や年金生活者が該当しないからです。次に、会社員や公務員の人は天引きで保険料が引かれて未納できません。彼らが3839万人います。また、会社員や公務員の配偶者(いわゆる専業主婦)は保険料を納めなくてもいいのですが、1079万人くらいいます。
そして、国民年金保険料の対象である自営業者や20歳以上の学生などのうち、きちんと保険料を納めている(あるいは免除の手続き済みである)人の数が1801万人ほどいますので、正味の未納者は340万人程度と少ないことになるわけです。保険料を納める対象全体からすれば、約4.8%の未納率ということになります。
よく「だから、若者はイカン」といった文脈で未納問題を語る人がいますが、会社員や公務員の若者はきちんと保険料を納めていますし、学生も20歳代にはかなり多くいますので、こういう解説は間違いです。問題を見誤らないようにしてほしいものです。
ただし、実態としては「過去2年の間で1ヵ月でも未納期間があれば未納者」と定義すれば1000万人以上が該当するとの指摘(→会計監査院報告資料はこちら)もあります。また、会社が適切に厚生年金保険料を納付していないケースも報告されています。保険料の未納問題について、決して軽んじていいわけではありません。
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