飛煙閣外観 |
箱根湯本温泉の老舗で、古い数奇屋造りの離れ風の部屋が点在する瀟洒な宿である。鉄筋コンクリートの本館もあるが、こちらの和風造りの飛煙閣が良い。
またこの宿は庭園内にある滝が有名で、玉簾の滝は白糸の滝のように壁面に沿って幅広く流れている。天ヶ瀬近くの秀水暴園の庭にある滝よりもずっと小ぶりであるが湧水の水量が豊富と言うことであろう。
さて浴室は時間変わりで男女交代になるので、今回は飛煙閣の庭にある露天風呂であった。透明、無味、無臭の湯が掛け流しで使われていた。54.6度のアルカリ性単純泉で総計683mg である。仄かな湯の香りが痕跡であるが感知できた。
もう一つは本館の地下にある古代桧風呂である。内湯の大きなものであるがこちらも弱く掛け流しになっていた。透明、無味、無臭ながらつるりとした感触のある湯であった。こちらはやはり45.4度のアルカリ性単純泉で総計515mgのものであった。園内に4本の源泉を所有しているとのことで、他の2本は、ほかの浴室で使われているのであろう。
▼箱根湯本で木造3階の風情 萬寿福
箱根湯本でも入り口にある温泉宿。木造3階建ての小さな宿で1階は浴室、2.3階が客室になっている。
外壁は木が古色を帯びていて風格がある。入り口は唐破風の立派な造りである。
萬寿福旅館浴室 |
湯は総計897mgの単純泉で69.2度という分析表が掲示されていた。小さいがレトロなタイル張り浴槽が2つあり弱く掛け流しになっていた。扇型の浴槽で床は大理石が貼られ、小さいながら凝った造りである。風情があり好感した。
湯本79号泉とのことであるが一部は奥湯本の川の上流から、そしてもう一本は敷地近くの湧出との混合であるとのこと。40分以内の入浴で1450円と言うやや高めな金額設定であった。しかし古い風情を感じられて良いと思った。
▼塔ノ沢の名宿 木造4階の堂々とした外観 環翠楼
環翠楼 |
塔ノ沢温泉は環翠楼、一の湯、福住楼の3軒が古い木造3階建ての風格のある造りで立派な温泉地である。その中でも全棟木造4階の偉容を誇り豪壮な佇まいを見せている環翠楼が白眉であると思う。
箱根に来るたびにこの旅館に泊まってみたいと思っていたので、この年末に家族で泊まってみた。大人2名では一人25000円である。4階に泊まりたかったが、4階はすべて大広間で部屋は3階からであるという。
幸運にもこの旅館の命名のきっかけとなった、伊藤博文筆の「環翠楼」と書かれた額の掛かった部屋に案内された。2間続きのスイートのような角部屋が今日の部屋になった。平面図を見てもここがベストな部屋であることがわかる。
予約時に木造の宿が好きであることを述べたり、文化財指定の部屋をいろいろ見学したいなど、またるるぶ、じゃらんなどで記事を書いていることなどを伝えたので一番の部屋を用意してくれたと思われる。
4階の造りが圧倒的に素晴らしく、神代閣、万象閣、蓬仙閣と称した大広間が3ヶ所あり2段造りの格天井や襖絵、照明器具などが圧巻であった。浴室には別所の花屋でもあったようなステンドグラスと細かいモザイクタイルの浴槽である。家族湯が秀逸でステンドグラス張りの窓は美しい。また梁や柱の石膏彫刻模様も洋風建築の様式になっている。
湯は湯本37号泉の単純泉で総計768mgの66度である。しかし個性がほとんどない清澄なもので透明、無味、無臭であった。内湯は弱い掛け流しであるが、渓流に沿った離れの露天風呂は循環で残念である。湯よりも建築に楽しみを覚えた温泉であった。
環翠楼 |
部屋からは早川の渓流が見え、欄干の廻った窓には本格的な木造和風旅館でしか味わえない風格があり満足した。
※この記事に書かれている情報は2004年6月時点のものです。ご利用の際には最新情報をご確認ください。
箱根の温泉シリーズ*