温泉/温泉を楽しもう

今年の温泉ベスト10 <2007年 対談後編>(6ページ目)

今年の温泉ベスト10!日本を代表する温泉研究家、郡司勇(温泉レポート)と、藤田聡(日本の名湯)両ガイドによる、年末恒例の特別対談!互いの温泉観も含め、今年も奥深い対談となりました。温泉好き必見です!

執筆者:郡司 勇

温泉ベスト10 郡司分三位 鐘釣温泉 渓流露天風呂、洞窟露天風呂 再訪 95

鐘釣1
河原の底から湯が溢れるように湧出している
<郡司> 黒部渓谷で一番良かった湯が、この鐘釣温泉であった。綺麗な景観の渓流に、足元湧出の源泉が大きく2箇所あり、それぞれ川のように溢れて、川沿いにも大きな浴槽を造っている。河原の源泉が底の岩の亀裂から湯が滔々と溢れており、表面が盛り上がっている。湧出口に手を当てると凄い量の湯が噴出している。その50センチほど川側にも湧出口があり、こちらはヌル湯が大量に出ていた。その溢れ湯は流れて、川沿いに浴槽をもう一つ造っている。源泉のほうは綺麗に澄み切り、湯の流れがはっきりと分かるほど湧出している。透明、無味、無臭の綺麗な単純泉であるが、この湧出状況に感動した。

すこし下流に洞窟風の源泉湧出地点があり、以前の記憶通りに存在していた。ここは底の砂地より全体から湧出し深い浴槽となっている。真賀温泉の幕湯を大きくした感じである。この湯も小川になって溢れ、川沿いの大岩の横に大きな露天風呂が出来ていた。源泉は42度ほどであろう。下の露天風呂で40度くらいになっていた。温度が適温でかつ湯量も多い、天然岩より湧出する天然の妙であろう。天然記念物に認定してもおかしくないであろう。

洞窟風呂のほうは2つの浴槽に分かれ、奥は細く深い透明な湯がこんこんと湧いていた。それが2つ目の浴槽に流れ、こちらは大きな岩が覆い被さり半洞窟のようになっている。すばらしい温泉であった。鐘釣温泉旅館で足湯用に湯を引き上げており、分析表があった。40.6度の単純泉で総計284mgの清澄な湯である。鐘釣温泉旅館の内湯にも、この湯を使っている。今後もこのまま残ってもらいたい温泉である。美山荘は休業であった。

<藤田> 鐘釣温泉の洞窟露天風呂は、私も昔大変に感激しました。昨年、久しぶりに行った時は、洞窟風呂には湯が無く、使用不可で本当に残念でした。しかし、この時は、川原側の湯船は一箇所しか無いようだったのですが、そこが絶品でした。洞窟に湯が無かった分、全量ここに出ていたのか、本当に大湯量で、かすかに石膏臭まで感知する湯に大感激でした。

温泉ベスト10 郡司分二位 中之島 東区下海岸野湯 95

中の島1
硫黄泉の大量の湧出で岩が白く染まっている
<郡司> 日本の中でも、秘境の一つに入るであろうトカラ列島に湧出する温泉。中之島にある。東区共同湯の海岸は防波堤の内側にあり、波が直接当たらないので格好な湯溜まりがある。この海岸には湯が自噴しており、熱いところからヌル目のところまで、100メートルほどの海岸一帯が温泉浴場になっている。海の大露天風呂とも言えるであろう。

港側の海岸は海の水と同じ温度であるが、東区共同湯に近づくにつれてだんだん温度が上がり、塩分も少なくなってくる。共同湯の下付近から、さらに東側が温泉湧出地帯で、湯温も高くなり大量に湧出している付近は、熱くて入浴不能になる。しかし、少し離れて温泉を掻き回すことにより、熱め適温の湯になる。極めて新鮮なために硫黄分が析出しておらず、まだ白濁していない。透明である。一部の石に、白い湯の花が付着している程度である。透明、たまご味、硫黄臭という東区共同湯と同じ泉質であった。

底が砂地の海岸は、足元の砂より「もわもわ」と湯が湧出しており素晴らしい。また石の多い海岸は、石の間より熱い温泉が湧出しかなり熱い。5から6グラムの塩分量で、明らかに海水よりも薄い。この海岸は温泉で満たされていると言ってよいであろう。深さもあり、温度も適温なので入浴が快適である。有名な悪石島の海中温泉よりも、ずっと素晴らしく良い温泉であった。
中の島2
至る所で入浴できる野湯


<藤田> 離島の温泉は、ただでさえ時間がかかります。さらに、悪天候だとフェリーが欠航するなど、予想外の時間がかかる可能性もあります。なので、行っていない温泉が多く、課題です。中之島に行くことが出来たら、ここに時間を割いて堪能したいと思います。

→次ページでは、いよいよ一位の発表です!>>>
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