箱根に行った。大温泉地で箱根18湯と称し箱根山周辺に温泉地が点在している。宿泊者数や湯量など国内屈指の温泉である。そのなかでも面白い切り口で3湯廻ってみた
野湯と文化財級の名湯と鄙びた湯治宿である。
箱根 大涌谷野湯
酸性泉、富士山をバックに入浴
箱根で有名な観光地、大涌谷は凄い噴気とボコボコと涌く地獄がある。富士山の景観も良く卵を茹でると黒くなるのでお土産となっている。その近くに流れる遊歩道の川は入浴可能であると湯達さんの本に書いてあったが行く機会がなかった、しかしこの先週に荒木氏の撮影された富士山をバックに流れる温泉の写真を見てこれは決行するしかないと決意した。ここは標高が高く地下水がないのか噴気は凄いが湯は少なく黒卵を茹でる地獄の部分はオーバーフローしていない。しかし川は酸味の強い水が流れ白濁している。酸性硫黄泉であろうが温度が20度ほどしかない、硫黄臭は強く熱ければかなりの良い湯であろう。富士山をバックに尻浴+絞り掛けにて入浴とした。野湯の面白さはあるが温泉入浴としての満足にはほど遠い物であった。
小涌谷温泉 三河屋
単純泉で53度 総計970 文化財級の宿
小涌谷温泉の三河屋は正月の箱根駅伝が通過する国道1号線沿いにある名宿で、唐破風の玄関や内部の凝った造りは文化財級の建築である。湯本温泉の萬翠楼福住、塔の沢温泉の指定文化財の環翠楼、宮の下温泉の富士屋ホテル、芦ノ湖畔の竜宮殿などと並ぶ箱根屈指の名建築で木造の古い宿が好きな人にはお勧めである。大きな内湯に円形の桶露天風呂があるが、旧内湯が良い。湯の個性は少ないが熱めの温泉が掛け流されていて古い造りのタイル浴槽でゆっくり入浴できて良い印象であった。奇麗に使われていて古びた銭湯や天井の高い共同湯を連想した。ここは小涌園のような造成泉ではなく自噴独自源泉である。
姥子温泉 秀明館
足元自噴源泉浴槽、貴重な明礬泉。
箱根に唯一残る湯治宿の雰囲気を持った宿で、貴重な足元湧出源泉浴槽があり温泉は絶品である。泉質は数少ない明礬泉で微温湯温泉や恵山温泉など他の明礬泉の温泉と同じく眼の湯として有名である。今回は電車で行ったのでロープ-ウェイで行く。夕方の黄昏時にロープーウェイから秀明館を鳥瞰しながらアプローチすると湯小屋のところから湯気が立ち昇っているのが見え感動的である。以前訪れた時より更に鄙びていた。客足が減っているのだろうか?土曜日というのに人気がなく本日は客が少ないのであろう。ここの湯は圧巻である。基本的には足元自噴であるが、雨のあとは湯量が増加して岩が露出した壁から湯が落下し白糸の滝状になる。さて今回の岩風呂は温泉の壁からの落下はなかったが、足元自噴の量はある程度あり、弱く溢れている。地熱が多く湯量が少ないので熱い湯になっていて木で仕切りのある奥側は入浴不可能の高温であった。透明、明礬渋味、ほぼ無臭の湯。女性用浴槽も同様な状況であった。
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