冬は貝拾いのシーズンなのだ
鎌倉・材木座海岸で拾った桜貝。一般的に桜貝と呼ばれるものには、数種類の貝が混じっている。 |
ドライブコースとして、海辺というのは定番。「とりあえず海でも見に行こう」っていうだけで、ドライブの誘い文句になるくらい。でも、海岸沿いを走ってファミレスでお茶して帰るだけだとだんだんマンネリになってくるでしょ。たまにはちょっと浜辺に降りて貝拾いなんてしてみよう。
実は、天気図が冬型になって風が強くなりやすいこの時期は、海辺にいろんな貝が打ち上げられやすいシーズンでもある。たとえば桜貝とか宝貝って、言葉の上だけでも知ってる人は多いと思うけれど、こういったきれいな貝殻を拾うなら冬が一番なんだ。特に宝貝はもともと南方系の貝だから、冬の水温低下で死んでしまったばかりの新鮮な貝殻が打ち上がっていることが多く、こんなのはピカピカで、ほんとにお宝という感じ。昔の人がお金の代わりに使った気持ちがわかるはずだ。
拾った桜貝を市販のエポキシ樹脂に封入したもの。これ結構簡単なんだけど樹脂がちょっと高い。 |
もちろん貝殻だけじゃない。波に洗われて丸くなったガラスのかけら、南の島から流れてきたヤシの実、外国の文字が書かれたもの、昔の陶片、化石など、浜辺には発見がいっぱい。最近ではこういった打ち上げ物探しがビーチコーミングと呼ばれ、静かなブームにもなっている。拾い集めたものを材料に、ネイチャークラフト作りも楽しい。
湘南・三浦へ日帰りドライブ
東京からなら、一番手軽なのが湘南や三浦半島だ。まずは横浜横須賀道路を衣笠ICまで一気に南下し、三浦縦貫道でR134へ。三崎方面へ2kmほど走り、長浜海岸入口を左折すれば和田長浜海岸だ。ここは砂浜のすぐ近くに広い無料駐車場があり、磯遊びには最適。4,5月になれば海辺にテーブルやタープなどを持ち込んでバーベキューしてる人も多いけれど、この季節なら人影は少ない。
春の和田長浜海岸。潮だまりを覗くときれいなタカラガイが見つかる |
貝を拾うなら、海に向かって右、北側の磯に歩いていこう。どの場所でもそうなんだけど、貝が多いのは岩に囲まれて小さな砂浜がある場所。長くきれいな砂浜が続くところでは、サクラガイのような、壊れやすい二枚貝は別として、貝の種類はあまり多くないんだ。
波打ち際を見ると、海藻やゴミが帯のようになったところがあって、そこがポイント。たとえばタカラガイだけでも。お腹に黒い斑点があるメダカラや、全体が茶色のチャイロキヌタはたくさん見つかるし、もう少し大きくて灰色の地に水玉模様のハツユキダカラや、オミナエシダカラ、シボリダカラ、サメダカラなんかも見つかるはず。ここではタカラガイ類だけでも30種類以上が記録されているのだ。
■長浜に打ち上がったタカラガイ類
相模湾貝類研究談話会HP内の研究報告。この中で10種類くらいはすぐ見つかるはず。
■打ち上げ貝を拾う
市場魚貝類図鑑という膨大な生物データベースのHP内にある「生き物の旅」のひとつとして、和田長浜での貝拾いレポートがある。
もちろん名前なんかわからなくたって、自分が気に入ったものを拾って帰ればいい。打ち上げられた貝殻は、水で洗って乾かせば、そのままインテリアグッズ。100円ショップで売ってる額に貼り付けるだけで、結構もっともらしい飾りになったりするし、ヒモを付ければ携帯ストラップだってできる。
100円ショップで携帯ストラップの素材を買ってきて、タカラガイにつけたもの。こういうのをやり出すと楽しい |
ちなみに、全然関係ないけれどこの磯のすぐ横にある崖の上には、最後の海軍大将として知られる井上成美が戦後に住んでいた家が保存されている。ただし個人宅でもあり、現在は事前に申し込まないと見学はできないようだ。
僕なんかはこの長浜でうろうろしてると半日くらいあっという間に過ぎてしまうのだけど、まあ普通はそんなに長居はしないだろうから、クルマに戻って細い道で北側の丘を越えよう。海の眺めが広がると、すぐ下に長井海の手公園 ソレイユの丘がある。ここはかつての米軍住宅跡地を横須賀市が整備し、昨年春にオープンした公園。花畑やレストラン、手づくり体験教室もあるから家族連れで遊ぶのにもいい。また、温泉ではないけれど海洋深層水を利用した入浴施設があるから、冷えた体を温めて帰るのもいいだろう。