クルマを気軽に停めて
草原の遊歩道を歩こう
駐車場からほんの少し歩けば、こんな風景。時間があるなら、バスの時刻を確認して遊歩道を歩き、バスで戻ってくるのもいい |
ビーナスラインの最大の魅力は、コーナーを曲がるごとに新しい風景が広がってくること。定期的に火入れをされて保たれた草原が、さえぎることのない展望を生み出しているのだ。
もっとも、見通しの利かないコーナーが多いことも確かなので、ドライバーはよそ見注意。駐車スペースは多いから、コーナーの途中などに停めず、安全な場所で気軽に寄り道を楽しんで欲しい。
車山の山裾を右に回り込んでいくと、今度は中央アルプスや北アルプスの姿も見えてくる。そして、7月なら左右の草原にはニッコウキスゲの黄色い花の群れも広がっているだろう。
そう、ビーナスラインのもう一つの魅力は、夏に咲き乱れる高原の花たち。時間に余裕があるなら車山肩や霧ヶ峰、八島が原などの駐車場にクルマを置き、遊歩道を歩いてみよう。走りすぎるだけでは分からない、色鮮やかな花たちの世界が広がっている。
八島が原を過ぎ、左に諏訪湖の湖面を望むとカラマツ林の中の道。和田峠まで行けばビーナスラインのほぼ中間だ。諏訪や蓼科周辺で泊まるなら、ここで中山道へ降りるか、来た道を戻ることになる。ちなみに和田峠周辺には真っ黒いガラス質の黒曜石が転がっていて、好きな人にはお土産にできる。ここの黒曜石は、縄文時代には矢じりの原料として関東周辺まで運ばれたものとか。
走りを楽しむなら
さらに美ヶ原へ
和田峠から北のビーナスラインは展望こそあまりないけれど、交通量も少なくなって快適な道。細かいコーナーも多くて走りが好きな人には最高だけど、あまり飛ばしすぎないように。僕はこのへんを走っていて、いきなり飛び出してきた鹿にぶつかりそうになったことがある。途中、売店のある三峰山のパーキングからは、それまであまり見えなかった北側の浅間山方面が一望できるから立ち寄るといい。
扉峠を越え、最後につづら折りの急坂で一気に標高を稼げば美ヶ原の一角。美ヶ原高原美術館で彫刻美術を堪能するもよし、北アルプスを正面に散策するもよし。松本方面へ降りるなら、扉峠まで戻ってよもぎこば林道を走るのがおすすめ。ビーナスラインから分かれてすぐあたりでは、正面に穂高岳の岩峰が望めるだろう。