脂っこくて濃い味付けの料理が続いた時、胃を休める食べ物をいただきたいですよね。そんなときは野菜を中心にした身体にやさしい味の料理を出している「天罎」へ行ってみましょう。私も、食べる取材が続いて、どうにも胃がもたれているとき、出かけて胃を整えるためレストランとして利用しています。
医食同源がコンセプト
個性的なオーナーのこだわりショップが集まるエリア、永康街にある小さなレストラン「天罎」は、レトロなインテリアとモダンな感じが同居する店内。オープンから8年目になります(永康街の本店)。小さい店はいつでもにぎわっています。その人気は、「医食同源」というコンセプト。野菜などの食材がもつ効能を活かした料理が、健康を気にし始めた現代の人にうけています。
現在ある素材を、古来の調理方法をアレンジした器具をつかって料理するというこだわりがあります。蒸し焼き用の釜や土鍋を上手に使って、炭火でじっくりと調理した素材の持ち味をひきだす料理にファンも多いのです。身体にやさしくていろんな効果を期待しながら食べる料理を「養生料理」と言うことが台湾では多いのですが、天罎にくればその「養生」の意味がわかる気がしてきます。
名物はカボチャのコレ!
予約して食べたいのが名物「臘味金瓜●」です(●の文字は、中の下に皿)。花蓮産のカボチャ(南瓜)を少しくりぬいて、中に米、肉(味のついた腸詰め肉)、栗、きのこ、魚介類を詰めて、アルミ箔に包んで約6時間蒸し焼きにします。カボチャもそのまま食べられるやわらかさ、お箸でも切り分けられるほどです。また、いろんな素材から出る味がしみていて、カボチャのほんのりとした甘みとぴったり。味のついた腸詰め肉が好きではない方は、これを抜いたものもメニューにあるので予約時に伝えてください。カボチャのまわりに敷かれた「龍鬚菜」もさっぱり塩味で炒められ、ほんのりと独特の青臭さも残っていてこちらもおいしくいただけます。
「臘味金瓜●」(●の文字は、中の下に皿):要予約(980元)
野菜中心の料理
名物のカボチャのほか、野菜をつかったメニューが充実です。キャベツと豆{豆支}の炒め物、チンゲンサイとシイタケの炒め物など、炒め物ではありますが脂っこくなくて野菜の甘みが感じられるおいしさ。豆腐とエビの蒸し煮もコクがあってお店のおすすめだとか。ほっとするには養生スープを。紫かかった山芋(山藥)やトマト、パパイヤ(木瓜)などを一緒に煮たスープは、美肌や整腸作用があって、身体も温まります。甘く感じるスープは不慣れな味だとは思いますが、トライしてみてください。(一品200~300元ほど。一品料理は予約は不要)
さっぱり野菜料理だけでは物足りないという方、コラーゲンをたっぷりとりたい方には、トンソクを煮込んだ「紅蘋{火畏}圓蹄」がもってこい! トンソクを煮付けるとき、リンゴジュースを加えて、醤油などで味を整えた豪快な料理です。煮込み時間は5~6時間ほど。ぷるんぷるんです。目の前にドーンとトンソクが出ると驚きますが、ちっともコテコテしておらず、あとをひく美味しさに仕上げられていますよ。この「紅蘋{火畏}圓蹄」(780元)も「臘味金瓜●」同様に、要予約です。
デザートはなに?
デザートには焼き芋を。カボチャを蒸し焼きにする時に使う器具で、蒸し焼きにされた紫のお芋。そして最後にお店特製の梅ジュースが出てきます。この梅ジュースはお土産用もあります。
疲れた胃には負担がかからない天罎のメニュー。きっと明日には胃も回復しているはずです。
なお、料理の量は多めですから、2名だと食べられるメニューも限られてしまいます。「臘味金瓜●」や「紅蘋{火畏}圓蹄」は少人数用はありませんのでご注意ください。