ロンドンというとミュージカルやシェイクスピアが有名ですが、フリンジと呼ばれる小劇場の活動も活発です。フリンジ劇場はパブの一部や倉庫などを改造した、100 席程度のところが多く、独特の熱気があります。手を伸ばせば届いてしまいそうな距離にいる俳優たちが、椅子とテーブルという変哲もない簡単な道具を動かしながら繰り広げる世界に、見ているうちにいつの間にか引き込まれてしまう、そんな演じる側と見る側との一体感が、フリンジの一番の魅力です。
フリンジ劇場からウエストエンドへ
King's Head Theatre 115 Upper Street Islington London N1 |
この舞台はフリンジでは珍しく予約が必要な状態となり、King's Head での公演終了後は、ウエストエンドにある Theatre Royal Haymarket で上演されました。こちらは 900 席近くの大劇場です。その後も他の劇場で公演が続行され、その年の Olivier 賞 (セットデザイン賞と照明賞) も受賞しました。
その後も世界各地で上演されたこの作品がアメリカに逆輸入されたのは、ほんの 2 年前のことです。それも、ウエストエンドでの実績と主演のチャド・ロー (ロブ・ロウの弟) を PR に最大限に宣伝してのことです。そのことを考えると、アメリカでの公演にこだわっていたら、この作品が日の目を見ることは恐らくなかったと思います。
フリンジの公演は玉石混淆で、はずれの場合も多いのですが、商業的なことだけを考えていては上演されないような作品に、イギリスのフリンジでは機会が与えられ、私たちもそれを観ることができるということに大きな意味があると思います。
フリンジ公演の詳細は TimeOut などの情報誌の Fringe というカテゴリで手に入れることができます。入場料は 10 ~ 15 ポンド程度です。みなさんもロンドンでしか観られない作品をぜひ堪能してください。
【関連リンク】
FRINGE & OTHER LONDON LISTINGS : ロンドンのフリンジ劇場の一覧。チケットを販売する Lashmars Theatre Tickets のサイトから。