昔ながらのパブでの食事といえば、フィッシュ・アンド・チップスやソーセージなどがメインのパブランチや、サンデーロースト (ローストビーフに温野菜やローストポテトなどを添えた日曜日のメニュー) など、素朴な伝統料理が定番。ところが最近、さまざまな食材と調理法を駆使した本格派の料理を出すガストロパブ (美食パブ) をはじめ、クオリティの高い食事を出すパブが次々と登場し、ロンドンっ子の心をつかんでいます。
気軽に楽しめるパブごはん
美味しい食事を肩ひじ張らずに味わえるのが、パブごはんの魅力。レストランで食事をするとなると、やれスターターだの、メインだので、それなりの出費も覚悟しなければなりません。が、パブでの食事なら、メイン一皿だけでも大丈夫ですし、ドリンク込みで 1 人 15 ポンド (約 3000 円。1 ポンド = 約 200 円) 程度に抑えることもできます。また、食事を出しているパブには、伝統的なパブにありがちな一種独特の排他的な雰囲気もありません。常連客とランドロード (亭主) が話しているところへ割り込んで注文するのは、気おくれするものですが、食事客の多いパブでは、飛び入りのお客さんでも明るく接してくれるので安心です。イギリスの情報誌には、最近、「ガストロパブ」の項目もお目見えしているので、滞在先の近くにそういうパブがないかかどうか、前もって調べておくといいでしょう。参考までに、ロンドン市内のおいしいパブをいくつかご紹介します。
TimeOut 誌が選んだ 2004 年度のベスト・ガストロパブ
The Coach and Horses; 26-28 Ray Street EC1R 3DJ |
落ち着いて食事をしたい場合には、テーブル席を確保する必要がありますが、人気店なので、特に週末には予約を入れておくか、我慢強く待つ覚悟が必要です。食材の肉は、伝統的な飼育法を守り続ける農場のものを使い、産地や種別はもちろん流通経路などの履歴も完全に追跡できるとのこと。
メニューの一部をご紹介すると、スターターが、「青いトマトのフライ、ラグストーン・ゴートのチーズ添え」 (4.5 ポンド)、「野生肉のテリーヌ、洋ナシのピクルスと胡桃パン添え」(5.25 ポンド)。そしてメインは、「ジロール茸と西洋ネギのリゾット、アヒルの目玉焼き添え」 (9.95 ポンド)、「ポーク・グーラッシュ:キャラウェイのダンプリング、サヤインゲン、サワークリーム添え」 (13 ポンド)と、伝統的なイギリス料理とヨーロッパ各国の料理を融合させた感じです。なお、メニューは食材の都合で変更されるので、お店を訪ねる時に、その日のおすすめを尋ねてください。
採算度外視のザ・ブルーポスト (The Blue Posts)
The Blue Posts; 28 Rupert Street W1D 6DJ |
ベトナム料理がお勧めのザ・ウイリアム (The William)
The William; 16 Harper Road SE1 6AD |
伝統的なパブの雰囲気と新感覚の味を一度に楽しめるロンドンのパブを、この機会にぜひ体験してみてください。