イタリアは「バカンス」で知られる国(ホントか?)。夏のバカンスが終われば、後は冬のバカンスを待つばかり。冬のバカンスは12月24日のクリスマスイブから1月6日のヴェファーナのお祭りまでとなります。
この期間、最も盛り上がるのはナターレ(12月25日のクリスマス当日)、そしてカポダンノ(1月1日のころ)の前日「Vigilia di Capodanno(ヴィジリア・ディ・カポランノ)」、つまり大晦日。ナターレは、キリスト教のお国柄「静粛に家族で過ごす」もので、たっぷりご馳走をこしらえて、両親や親戚と過ごすのが基本です。一方、新年を迎えるカポダンノは、友人や恋人と大騒ぎ。イタリアでは、Natale con i tuoi, Capodanno con chi vuoi(ナターレは家族と、カポダンノはお好きな人と)と言われます。
さて、このカポダンノ。パーティーあり、コンサートあり、ディスコテーカ(ディスコのこと)で朝まで大騒ぎあり、と過ごし方はいろいろですが、特にナポリのカポダンノは群を抜く激しさで、イタリアでも有名。なぜか夜中に不要な家財道具(タンスや冷蔵庫、洗濯機など)を窓から投げ捨てる風習があり、その巨大家具に当たって人が死ぬとか、車も吹っ飛ぶ巨大花火で人が死ぬ、とかとにかく、危険らしい。
と、いうことで、行ってきました、ナポリのカポダンノ!
12月31日の夕方、駅に降り立てばすでに街は「火薬」の香り。遠くで聞こえる低い爆発音「ドーン!」。「な、なんだ?銃撃戦でも起こってるの?」などと慌ててはいけません。これは花火の音。中国製やらナポリ製(?)やらの、この怪しい花火を仕入れ、いたずら好きのナポレターノ達はカポダンノの数日前から街の至るところで、ぶっ放します。
31日は当日だけあって大盛況。路地から時おり白い煙がモクモクモク・・。身の危険を感じながら、友人宅(サンタキアラ教会の真裏=スパッカナポリ)に着いた後、やはり用意されていた100発5ユーロ程度の花火(というか、ただドーン!とでかい爆発音のするミニ爆弾。ホントに安いだけあって音以外に何の芸もない)を窓から路地に投げまくり。細い路地(いわゆる洗濯モノがかかる、あの、ナポリの路地です)に響き渡る爆発音。ドーン!ドーン!ドーン!!!
人が下を歩いていてもお構いなしなところが特にコワイ!こりゃー、ホントに気をつけないと、怪我します。実際、24時を過ぎるまで、外を歩いている人は皆無に等しい状態。年が明ける瞬間は爆発音も最高潮、赤く染まるナポリの夜空。空襲ってこんな感じ?と想像させる程・・・。
カウントダウンの後は、わらわらと人が外に出てきて、コンサートやパーティーで朝まで外で大騒ぎです。私達は港に設置された野外コンサート会場へ。午前3時半頃、盛り上がりも最高潮の頃、舞台からスプマンテをかけられた観客が、舞台に上がって殴り合いの喧嘩が始まりました。警官隊が止めに入りましたが、今度は、警官隊を狙って巨大な爆弾、いや、花火を投げつける人も出現。やりたい放題で、非常に面白い、いや、危険!パトカーがウーウーサイレンを鳴らしながら乱入してくると、数千人いた観客がクモの子を散らすように、一斉にいなくなり…。「Dai! Vieni!(ほら、こっちだよっ!)」と呆然とする私は友達に腕をひっぱられ、無事退散致しました。
まったく、なかなかナポリらしい体験(?)でございました。
花火は人に向けてはいけません。とか、水の入ったバケツを用意して。というのが日本では常識だったような気がしますが、ナポリでは花火は人に向かって脅かすように。燃える物は燃やしてしまえ。(ごみ集積ボックスがゴウゴウと燃やされているのを見ました。)のようです。毎年、不発弾をいたずらしていた小学生の指が吹っ飛びました!とかそんなニュースもあるようですねえ。
ちなみに翌日の1月1日は、シーーーーンと静まり返った街に観光客のみが出歩くという一年で一番安全そう(?)なナポリの光景が見られました。
キレイな打ち上げ花火も上がるので、遠くから眺める分にはいいかもしれません。いつかナポリのカポダンノ、経験してみませんか?(責任は取れません)。
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