ニューヨーク/ニューヨークの美術館・博物館

日本人建築家の意匠が光る美術館が話題!(2ページ目)

ロウアー・イースト・サイドに満を持してオープンしたコンテンポラリー美術館、その名も「ニュー・ミュージアム」はこの界隈をさらにアーティスティックな場所へと昇華します。その内容とは?

小松 優美

執筆者:小松 優美

ニューヨークガイド

日本人建築家による衝撃のデザイン

度肝を抜く建築意匠の宝庫である美術館。
このニュー・ミュージアムがオープン前から話題になっていた理由、それはその斬新な建築。積み木のように真っ白い箱を積み上げた珍しい外観は、現代美術を展示するにふさわしい様相です。この意表をついたデザインは、世界的に活躍する建築家コンビ妹島和世+西沢立衛(SANAA)によるもの。「若い建築家、それもアメリカではまだあまり知られていない人に手がけて欲しい」という美術館関係者の願いによって、ヨーロッパ各国ですでにその名を知られているSANAAの、アメリカでのさらなる飛躍が見込まれます。

そんな妹島+西沢両氏が「内部で何が起きているのかを隠さない、透明なビルディングを目指した」と説明するミュージアムは、非常にオープンな雰囲気。1階エントランス部分はガラス張りで、中の様子を覗くことができる造りになっています。また、積み木を積み上げたかのように、建物をフロアごとにずらしたことで、自然光を取り入れているそうです。

開けた空間は、異なる作風のアートも同時にディスプレイされる。
最もユニークな特徴は、柱の全くないギャラリー空間。エレベーターを降りれば、視界を遮ることなくフロア全体のスペースが広がります。作品がもつ世界観を存分に活かされているようです。「ニュー・ミュージアムのテーマやプログラムを意識して、まず内観を設計してから外観に着手しました」と設計者が語るように、美術館としての意義が尊重されています。

ちょっと界隈から切り離された感じのする“けったいな”装いの建物ですが、「変化を遂げるロウアー・イースト・サイドで、バワリー地区の象徴としてタフに生き抜いて欲しい」という願いが込められているのだとか。また、この地の“異なるものを認める”精神によって、このユニークな建物は地域との関係性を保つことができるそうです。土地のアイデンティティに即した建物づくりという概念が、いかにもNYらしい風景を演出しているのですね。

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