感動的なラストシーン
大雨の中、ポールとホリーとホリーの名前のない猫が抱き合う感動的なラストシーンはマンハッタンの路地裏という設定でした。まるで猫のことなんかどうでもいいと思うように、タクシーの中から大雨の街角にホリーは猫を捨てます。それを見てポールはタクシーから降りて猫を探し始めます。ホリーはそのとき、自分がその名前のない猫であることに気づきます。自分自身誰かわからない、誰も存在すら気がつかない猫…… そんな猫はこんな汚い路地裏がぴったりです。でもポールはそんな猫に愛情を寄せ、大雨の中必死に探しているのです。ホリーはポールの自分に対する愛情に初めて気づき、その愛を信じてみようと心に決め、自分もタクシーを降りて猫を探し始めます。
原作者のトルーマン・カポーティはこのラストシーンがあまり好きではありませんでした。彼の本の中では最後までホリーは自由の精神の持ち主でひとりで姿を消して終わっていきます。私はこの感動的な映画の終わり方の方が個人的に好きです。ホリーがひとりでずっと無理して生きていたのが、素直に愛を信じる気になるその大きな心の変化が描かれているからです。
実はこのシーン、猫がびしょびしょになり、すごい匂いを発していたという後日談が残されています。それにも関わらず、オードリー・ヘップバーンは役に入り込んでいやな顔一つせず、その猫をいとおしそうに頬擦りします。さすが、オードリー・ヘップバーンだなと改めて感じました。
さて2回にわたってご紹介した『ティファニーで朝食を』舞台裏話いかがでしたか? 今度ニューヨークを訪れる前にぜひもう一度この名作を見直してみてください……!
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