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べっ甲色の松葉蟹を自宅で茹でる

松葉蟹。そのブランドは数々あるが、美味な証は、べっ甲色。

執筆者:萩原 章史

松葉蟹
松葉蟹は12月と年始は高いです。サイズによっても違いは大きいです。11月や1月下旬以降であれば、800gで12,000円くらい

松葉蟹は、ずわい蟹の1ブランド。

松葉蟹
このタグが水揚げした港と船の証
国産は「ずわい蟹」、輸入ものは「ズワイガニ」と呼びたい。

その、ずわい蟹。水揚げされる漁港によって、数々のブランドがあります。
代表格は福井の三国港の越前蟹、京都や島根や鳥取は松葉蟹

さらに、松葉蟹にも、間人(たいざ)蟹、津居山蟹、柴山蟹など、その漁港ごとにブランドとそれぞれの港を示す色のタグが付いています。
厳寒の日本海の蟹漁は命がけ。毎年、何人もの犠牲者を出しています。各港の漁師が、命がけで獲った蟹の証しとして、船上で爪にタグを付けたのが始まりです。

ブランド蟹は何故、美味なのか? 甲羅についた黒い虫は美味の証か?

松葉蟹
絶対とは言えませんが、この黒い丸い虫は美味しい蟹の目安です
基本的にブランド蟹の産地は、蟹の漁場が港から近く、さらに、泥の海底(餌が豊富)から底引き網で獲るのが一般です。

今年は例の制裁で、北のかご漁の蟹は入ってきませんが、岩場の海底のかご漁で獲る蟹と、泥の海底の底引き漁では、蟹の見た目も味も違いがでます。

岩場の蟹には白いフジツボが着き、泥の海底の蟹には海ひるの黒い卵が着きます。
気味が悪いと思う方が多いですが、黒い海ひるの卵はまったく無害です。

脱皮をしてから時間が経った身入りの良い蟹は、それだけ長期間、甲羅が海底にあるわけですから、海ひるが卵を産む確率が高くなります。
さらに、餌が豊富な海底に生息する蟹は移動が少ないので、それだけ、黒い卵がたくさん着く可能性が高いのです。
また、泥の海底を移動するには、足が長くないと、泥に沈んでしまいます。
ということで、黒い虫がついた、足の長い蟹は美味な蟹と言えます。

とは言え、同じ海域でも太った蟹もいれば、痩せた蟹もいます。
見た目だけで、蟹の味を100%判断するのは、蟹のプロでも困難なようです。

美味な蟹は茹でるとお腹がべっ甲色に

松葉蟹
蟹のお腹部分がべっ甲色になるのが美味な印
丹後半島沖を漁場とする数々のブランド蟹といえども、結局は近い海域で漁をしています。どの港に所属し、水揚げするかで、名前がつくのは、先に説明したとおりです。もちろん、何日も操業してから、まとめて蟹を水揚げする船もありますし、毎日水揚げする船もあります。
さらに、重要なのは水揚げ後の手当てです。生簀の水質管理や温度管理などが蟹の品質に大きな影響を与えます。

前回に続き、「松葉蟹一筋18年」。丹後半島の魚政さんの谷次兄弟に、蟹の目利きを教わりました。
蟹のシーズン中は毎日、何千匹もの蟹を茹でる、谷次(兄)さんに伺ったところ、

「うまい蟹はブランドに関わらず、茹で上げると腹の白い部分が、べっ甲色 になる」

べっ甲色の蟹、これが実はキーワードです。

次ページで、松葉蟹を堪能します>>
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